第84話

「火端さん。明日ではなくて、今行きませんか?」

「え?! 今ー!!」

「ええ、私調べたんです。地獄とこの世の時差というのを」

「そうなのか? どれくらい時差があるんだ?」

「8時間です」

「……。そいつは……じゃあ、今から行こうか!」

「ええ」

「その前に、八天商店街でクーラーボックスを買って、中に入れるドライアイスも買おうよ」

「ええ。それでは行きましょう」


 俺は音星と二人で、玄関へ向かった。シロが俺たちの後ろを追いかけてきた。

 古葉さんと谷柿さんが顔を見合って。


「もう、行くの? 早いぞ。まだ休んでろよ」

 古葉さんが目を丸くしていた。


「こんなに早く行くのは、何か理由があるんだよね。気をつけてな」

 谷柿さんが手を振っていた。

 

「もう、行くのか?」

 おじさんが腕組みをした。


「落ち着きがないわね……もうちょっと、ここにいればいいのに」

 おばさんが、心配顔をした。


「ほんとタフよねえ。火端くん……」

 霧木さんがため息を吐いた。


「よーし、行こう!」


 俺は音星とシロを連れ、夜中の暗くなった八天商店街へと向かった。

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