第41話

 至る所にある煮えたぎる釜土のせいで、歩くのが辛い。何故かというと、汗をかいているのは、身体だけじゃないんだ。足からも地面へと、汗が止め処なく流れていく。


 リュックサックがたくさんの発汗で、水分を吸ってしまい。ぐっしょりと重くなってきていた。腕の中のシロも息も絶え絶えだった。


 広大な場所だけど、そこに充満しているムッとくるような熱気で、呼吸もかなり苦しい。


 隣を歩いている。音星も汗で水気を含んでしまった布袋も背負っているし、呼吸も苦しそうだった。

 

 火のついていない釜土まで歩くと、あることに気がついた。

 

 俺は、ここ地獄へは茨城から、はるばる妹を探しにきたんだよな。


 炎や煮え湯で焼けそうになったり、高熱で死にそうになったり、でも、肝心な妹を少ししか探せない。それだと、まったく意味がないんだよ!


 うーん。


 ……あ、そうだ!


「音星。すまないが、すぐに八天街へ戻ろうよ! 八天街の洋服店とかで服を買ったりして、ここ地獄の熱さ対策をするんだ。これから下層へ行けば行くほど、八大地獄はもっと熱くなって来るんだしさ」

「……それはそうですね……。それでは、ここの熱さとも、しばらくお暇しましょうか。一旦戻りましょう」


 音星は無理に笑顔を作って、答えてくれた。

 手鏡を布袋から用意すると、今度はシロと一緒に俺を鏡に映した。

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