第16話

 等活地獄を鬼(獄卒)たちの目を盗みながら散々走り回ること数時間。

 結局、俺は妹を見つけられなかったんだ。


 やっぱり、ここにはいないんだな……。


 そして、その後に音星がどうやって、地獄へやって来れたのがわかった。


 かなり疲れたので、音星がいる岩間に戻るってくると、俺の食べ掛けのおにぎりがそのまま置いてあった。


 音星は依然として目を瞑って突っ立っている。


「あの。火端さんですよね。そこにいるのは?」

「ああ……」

「妹さんは……おりましたか?」 

「いや、いない。やっぱりもっと下の方だ」

「それでは、私たちも限界ですし、おにぎりもなくなりましたし、それにもう現世は夜遅いと思うので……」

「……あ、ああ」

「ここいらで、八天街のお宿へと戻りたいのですが……」

「……あ、ああ。って、え?……ええ??」

「火端さん? お宿は? どこかに泊まるところはないのですか?」

「うん。ないんだ」

「あ、そうですか。それでは、私の今寝泊まりしている。お宿をご案内いたしますね」


 俺は音星の言葉に終始、呆気にとられていた。

 今更ながら現世に戻れるのか?

 どうやって?

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