第10話

・俺たちはトロッコの中へと急いで走っていった。

 だが、箱の中に入ると同時に弾みでトロッコが動きだしてしまった……。


「きゃーーー!!」

「い、いわんこっちゃないーーー!!」


 ガタンゴトンとトロッコが、針の山をスピードを上げながら。風を切り。走り出す。

 まるで、ジェットコースターだ。

 俺たちを乗せたトロッコは、グングンと線路を猛スピードで走り抜け、右へ左へ唸るように曲がっていく。


 トロッコの車輪から火花が飛び散る。


「きゃーーー!」

「うわ! うわっ!」


 針山の側面を突っ切ってから、今度は傾斜を落下するかのように走り。それから、トロッコが徐々に登頂部分へと一直線に登っていってしまった。


「あの。火端さん? なんだか私……とても嫌な気がしてきました……」

「ああ……」


 トロッコの前に乗っている俺に、後ろにいる音星の震える声が聞こえてきた。その間に、トロッコは針山の登頂部へとたどり着いていた。


「ああ、俺もだ……なんだか……これから起きることがわかったような……」


 俺も嫌な予感がする……。


 予感が的中した! 


 トロッコはそのまま猛スピードで、針山から下方のぼっかりと開いた穴へと降りだした。


「うおおおーーー!!」

「キャーーー!!」


 これは、本物の地獄のジェットコースターだ……。

 俺は叫びながら途切れ途切れの意識でそう思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る