第7話

 けれども、よくこんなに凄まじい風の中なのに、提灯の火が消えないもんだな。


 洞窟の中の風は未だに強烈に吹いているのに。



「ああ……そうなんだね。……俺は死んでしまった妹を探すためさ。ずっと昔から地獄の入り口を探しているんだ。今じゃ、ちょっとした地獄マニアさ。妹を助けるためなら何だってする! そして、死ぬほど怖いけど……本物の地獄へやっと来れたんだ! やったぜーー!! あはははは……何故か……なあ……妹は……冤罪の感じがするんだ。優しい子だったんだ」

「はあ、それはお辛そうですね。ここは八大地獄と呼ばれているところです。死者はその罪の大きさによって、それぞれ最下層へと向かうところなんです」

「はっ、八大地獄ー?! うひゃあーーー! こえけど、やっっったぜーー! 八大地獄ならよく知っているよ! 等活地獄。黒縄地獄。衆合地獄。叫喚地獄。大叫喚地獄。焦熱地獄。大焦熱地獄。それに阿鼻地獄とあるんだよな」

「ええ、良くご存知で」


 音星がハッとして。、急に俺の後ろの方へ目を向けてから、口をキュッと結んだ。

 そして、口を開き静かに言った。


「あの火端さん。走れますか? それもかなり速く?」

「え??」


 俺は自分の真後ろを見た。

 途端に、驚いた。

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