12.【……剣呑で、非難ひめいた、……】


 真っ直ぐな眼差しが××を射抜いた。そこに宿るのは真摯さではない。剣呑で、非難ひめいた、曲がったことを嫌う頑固者の眼だ。


「ああ信じられない! お前の肌を見ろ! 安定した睡眠時間を欲して肌が粒だっている。まだらに赤らんでいる。鼻に豆なんてつけている場合か? お前の身体を健康にしてやれるのはお前だけなのに、何故やらない。美しくなりたいとは思わないのか!?」


 一息に叫んだ〇〇は××の肩を鷲掴み、ぐらんぐわんと大きく揺さぶる。××は酔いどれのように目を回した。天井のライトが瞳の中で渦を巻いた。前後に揺れる光の大波に襲われながら、××は普段の生活に反省するのだった。



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