6.【最悪で最高の……】


 最悪で最高の白昼夢を見た。


 よくある田舎の田園風景の中、私は、あるいは誰かは立っている。

 まるでゲームの画面か、アニメのワンシーンかのような斜め上からの俯瞰の視点だ。

 すぐそばに寂れたバス停がある。あぜ道にぽつねんと佇む私とバス停。一人なのに、一人ではない気がする。

 不気味なまだら模様の空は妙に明るい。胸騒ぎを誘う夕暮れの気配だけが辺りを支配している。

 まるで、本当にゲームのようだ。決められた世界だけがそこにあって、そこから外には不揃いな亜空間が広がっているような気味の悪さ。

 と、

 連なった山々の隙間から大きな顔がせり出した。

 薄い皮膚の下に張り巡らされた血管が青に、赤紫に見える。顔全体に無数の痣が広がっているような。

 小さな両目は山なりに歪み、小さな口はつりあがっている。笑っている。ゴゴゴと地鳴りのような重低音とともに顔は私を目がけて山を越えて、やがて視界がゲーム画面の仕様のように大きく揺れて、


 暗転した。


 そんな白昼夢だ。


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