6.【最悪で最高の……】
最悪で最高の白昼夢を見た。
よくある田舎の田園風景の中、私は、あるいは誰かは立っている。
まるでゲームの画面か、アニメのワンシーンかのような斜め上からの俯瞰の視点だ。
すぐそばに寂れたバス停がある。あぜ道にぽつねんと佇む私とバス停。一人なのに、一人ではない気がする。
不気味なまだら模様の空は妙に明るい。胸騒ぎを誘う夕暮れの気配だけが辺りを支配している。
まるで、本当にゲームのようだ。決められた世界だけがそこにあって、そこから外には不揃いな亜空間が広がっているような気味の悪さ。
と、
連なった山々の隙間から大きな顔がせり出した。
薄い皮膚の下に張り巡らされた血管が青に、赤紫に見える。顔全体に無数の痣が広がっているような。
小さな両目は山なりに歪み、小さな口はつりあがっている。笑っている。ゴゴゴと地鳴りのような重低音とともに顔は私を目がけて山を越えて、やがて視界がゲーム画面の仕様のように大きく揺れて、
暗転した。
そんな白昼夢だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます