誕生日プレゼント

 その日から瀬伶菜は、学校でオレを見つけると手を繋いでくるようになった。

 

 

 こ、これは普通に嬉しいだろ。

 

 もう、なんならオレから見つけに行って繋いだろうか?ってくらいだ。

 

 でもね、やっぱり理由が気になるんですわ…

 手繋ぐ理由ね。

 

 でさ…でー、

 …今度の休みに瀬伶菜はどうせオレの部屋に遊びに来るだろうから、真相を聞いてみようって思うんだけど…

 

 でもさ、このまま聞かない方がいいかも?なんて思ったりもするんだよね。

 

 理由がわかって、もう手繋いでもらえなくなっちゃったら嫌だし…。寂しいし…

 

 …

 

 で、でも‼︎

 

 もしかしたら、瀬伶菜がなんか困ってるのかもしれないんだから、そんなことは言ってられないよね?

 

 てなわけで、瀬伶菜がやっぱりいつも通りにうちに来たから聞いてみた。

 

「なー、瀬伶菜…」

「なに?絵が売れた?」

「あー、それは順調だよ。でも、それじゃなくてね…」

「うん。…なんで学校で手繋いでくるかってこと?」

 

 …

 

 わかっていらっしゃる…

 

「まぁ…うん、そうだね」

 

 …

 

「それは…ね…」

「うん」

「それは…、とある理由があってね。でも…まだ言えなくて…ごめんね。」

 と。

 

 …そうか。

 

「わかったよ。無理に言わなくていいよ。手もいつでも繋いでおいで。でも、もしなにかあったらすぐに相談してね?いい?」

 

 オレの言葉に頷く瀬伶菜。

 

 瀬伶菜にも、いろいろ事情ってものがあるのだろう。

 きっといつか話してくれるだろうから、オレはそのときまで待つことにした。

 

 

 

 

「あ、瀬伶菜そろそろ誕生日じゃん。なにか欲しいものある?」

 

 オレの質問を聞いた途端に、目を輝かせる瀬伶菜。

 

 えっ…、なんか…なんか高いものとかおねだりされないよねっ⁈

 

 なんでそんなに…えっ⁉︎いいんですかっ⁉︎みたいな顔してんだよ…。

 

 なんだ?何をおねだりされるんだ⁇とドギマギしていたら、ものじゃなくて…まさかのお願いだった。

 

 

「あのさ…誕生日なんだけど…さ…」

「う…うん。なに?」

「ものじゃなくてさ…わたしのわがままを聞いてほしいの。」

 

 ?

 

「わがまま?」

 

 …

 

「うん…。あの…実は…」

 

 実は…なんだろう?

 

 なんて思っていたら…まさかまさかのおねだりでした。

 

 どんなって…それはとてもオレにとったらありがたいことなのでございました。

 

 

 続く。

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