第8話
「さて暗いが帰るとするかな」
女達は三人で一頭の馬を引き、前を
森を出るまでは何の問題も無く進み、森を出た時点で
大所帯となった
どうやら人のようだ。
「誰かいるのか!」
「ひっ、ひぃぃぃぃ」
がたがたと震え出す女。それは救出の依頼を受けた村の女達だった。
「あ、
女達は混乱し、馬も中々制御出来ない。
「やあ、人だよな、それとも
ゆっくりと歩く
白い小袖を着たその女は漆黒の髪に妙に白い顔。
「あ・・・・・・ぅ」
思わず唸る
『にっかり』
血のように真っ赤な唇が顔全体でにっかりと笑い、黒い
「かぁぁぁぁぁぁぁっ!」
寒気を受けた
女は笑い続けていた。
さすがの
何処を視ているか分からない黒い
・・・・・・・・・・・・
突然、女の身体がゆらゆらと揺れだし身体に
女はそれでも笑ったままだ。
徐々に薄れてゆく女の身体。
どれ位刻が経ったのか、いつの間にか女の姿は掻き消えていた。
「・・・・・・はぁぁぁぁぁっ」
「
「いや、分からぬ。ただ、普通の
二人はもう一度女の立って場所を見つめるがそこには何も無く草がただ揺れているだけだ。
「まあ、消えたから良しとしよう。それより女達の介抱だ」
近づいてみると実際半分が倒れており、半分は呆けている。正気を保っている者は二人だけだがそれでも
ただ一人だけ様子が違う。顔には生気が無く、目は見開かれていた。女は死んでいたのだ。
「何故一人だけ死んだのだ?」
「
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「お侍さま、どうして移動を止めるのですか?」
不安そうな表情の女が話しかけてきた。全員が
「皆、疲れただろう。正直わたしも疲れた。あれがなぁ・・・・・・」
「あれはやはり
女の問いに狛は【分からぬ】とだけ答える。
「今宵は村に帰り、明日、あの場所に行ってみるさ。何か手がかりがあるやもしれぬ」
それから全員が無言になり、全員で身を寄せ合って侍大将が帰ってくるのを待つのであった。
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暫くして、村の方から明かりが多く近づいてきた。
先頭を走る馬に
「お~い、ここだここだ!」
どうやら村人達の持つ松明のようだ。
「すまん、遅くなった」
「一応女全員を村に泊めることに納得して貰った。そういえば死んだ女はどうした?」
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村に帰ると夜中にもかかわらず煌々と明かりが灯っていた。村には水が用意され、女達はそれぞれ身を清めに行く。
「ああ、来ていただいて申し訳ない」
老婆がやってきたらすぐに太刀を鞘に収めた。それから出会った
「その
老婆が感心したように
「どうした? 何かあったか? またあやつが出たか?」
狛の問いに侍大将は渋い顔をして【まあ待て】と声をかけた。女の遺骸は村人が背負っている。その女の遺骸を地に寝かせると村人は
「これを見ろ」
「
黙って頷く
「つまりはそういうことだ。問題はなぜ
結局、色々と考えを巡らせてみたが答えは見つからず、夜が明けてからもう一度見に行ってみるということで話は終わった。
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