第12話 カフェって緊張するよね
カフェに入る2人。
「綾花ー? あんた何頼むの?」
「怖い……」
「え?」
「オシャレな人ばっかだ……みんなこっち見てる……僕みたいな……地味な……」
「何言ってん?」
「あ! 今の僕超オシャレな美少女なんだ!」
「うん」
「忘れてたぁ、で? メニューは?」
「これ」
綾花は差し出されたスマホを手に取る。
(全部美味しそうだなぁ……)
これでもかと並ぶ写真。全部美味しそうだ。
さすがカフェだ。
「じゃあーこれと、これと、これで」
「飲みすぎ! 1個まで!」
「えー、んじゃこれー」
「はいはい、キャラメルマキアートね」
「んじゃ席取ってるわ、買ってて」
そう言い残すと綾花は返事も待たずに席を取りに行った。
と言うのも風花のためいつものような様子でいるが、内心心配で仕方がない。
「はい、おまたせ」
「ねぇね?」
「ん?」
「はよ話せ」
「いや怖いな! 話すけど……」
促されるがままに風花は
「小日向紬か……僕の好きだった人だね」
「え! ほんと!? てか好きだった?」
「うん、最近変わったかな〜」
「最近か〜」
(あれ? 綾花って最近外出てなくない? 新しい好きな人に会う機会なんてあったのかな?)
そんな疑問を遮るように綾花が質問をする。
「で? それだけ?」
「うん……」
しばらく沈黙が続く……
「嘘だね」
「え? ほんとに全部話したよ?」
「いいや、まだ姉ちゃん暗いもん」
「はぁ……」
(そっか、全部お見通しなんだね)
今の風花の気持ちを伝えたところで、実らなくとも今の関係が崩れることはないと思う。
なぜなら2人の間には家族と言う絆があるからだ。
ただ過去の風花なら言い出せなかっただろう。
ただ今は違う。過去のトラウマを乗り越えた。
覚悟を決める。
「私、あんたのこと好きになったかもしれない」
「ふふ」
「あ? 何笑ってんだよ、人が覚悟決めて言ったんだぞ!」
風花は勢いよく机を叩く。
そして周囲の視線が集まる。
「ごめんね、嬉しくって」
「は?」
(嬉しいってなんだよ、どんなけ言うのが怖かったと思ってるんだよ)
「僕もねぇねのこと大好きだよ?」
「そういう好きじゃない、恋人としてってこと」
「だからそういう意味で大好きなんだよ?」
「え?」
脳が追いつかない。
ついには考えることを放置した。
何も考えていない状態、すなわち気絶だ。
「おっと、ねぇね? 危ないよ?」
「あ、あぁ……ごめん」
倒れる風花を見事に支える!
ナイスキャッチだ! 綾花!
「ねぇね? 大好きだよ?」
「私も大好きだよ……」
風花は照れを隠すようにそっぽを向く。
それを見て優しく微笑みながら綾花が言う。
「それじゃあ本屋さん行こっか?」
そう言って手を差し伸べる。
そうして歩き出した2人。繋ぐ手は恋人繋ぎになっていた。
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