第9話 姉妹百合……いいねぇ……
「おーい、綾花ー?」
「ん? 何?」
「デート行こ!」
「デ、デ、デ、デート!?」
「うん、デート!」
「い、いいけど」
「やったー!」
こうして急に始まるデートであった。
果たしてどこに行くのだろうか……
「ねぇね? 家出たはいいけどどこ行くの?」
「ふふふ」
「?」
「聞いて驚くな?」
「うん」
「駅前に新しい本屋さんができたんだよ!」
「なんだってー!」
反射的に驚く綾花。
若干被せ気味だったような……
「いや、驚くな言ったやん、別にいいけど」
「う、うん……ごめん?」
「そんなことより! ねぇね何買うの?」
「ふふふ、百合漫画だよ」
「!」
「僕にも読ませて!」
「もちろんいいぞ〜」
「いやー、あんたもすっかり姫女子だね〜」
「姫女子……?」
「あぁ、もういいよ」
「えー!? なにー? 気になるよー!」
そんなこんなで歩く2人。
先に行動したのは風花だった。
「ねぇ綾花?」
「ん?」
「手繋ごっか?」
「なんでだよ!」
「良いでしょ、ほらー!」
そう言って風花は強引に綾花の手をとる。
それは単に手のひらと手のひらを合わせただけのものだった。俗に言う手のひら繋ぎだ。
伝わる体温、高まる鼓動。
(ドキドキする……かも……)
今更ながら隣を見ると超絶美少女がいる。
綾花の手が動く度にくすぐったいような心地よいような感覚が全身を走る。
脳まで痺れるかのような甘い感覚。
「おーい? 聞いてる?」
「ねぇ?」
「聞いてるの?」
「あ、あぁ、ごめんちょっと考え事してた」
「もー、メッだよ!」
(うわああああああ、かわいいいいいい!)
「メッだね……分かった……」
またくすぐったいような感覚に襲われる。
離したく無い、誰にも合わせたくない。そんな感覚に。
「これじゃまるであの時じゃん……」
「ん?なんか言った?」
「いや、なんでもないよ〜」
あの時。風花の忘れ去りたい思い出。
甘くて苦い。そんな過去のこと。
嫌でも思考は過去に飛ぶ……
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