SS 第2話 【綾花視点】

「ねぇ、綾人? とりあえず偽名考えよっか?」

「んまぁいいてぇこたぁ分かるけどよ、まあいいや、んじゃ姉ちゃん考えて」

「もっと可愛く言ってみて?」

(か、か、可愛くって……)

「なんでだよ!」

「いいから〜」

(恥ずかしいし……)

「たくっ……名前付けて……ねぇね?」

「お、おぉ……待ってね〜……」

(なんで言わせといて動揺してんだよ)


風花はめっちゃ考えてるっぽいけどめっちゃ長い。大丈夫だろうか。


「綾花……?」

(めっちゃ考えたのに案外普通だな)

「ん、じゃあそれで」

「ところでさ?」

「ん?」

「あぐらかくんやめよか……勿体ない」

(あー、確かに、今は美少女なんだしね!)

「あ、うん、ごめん」


綾人を本気で美少女に、すなわち綾花として、育てあげようとする風花。それに気づかず素直になる綾花。


「まあ夜遅いし早く寝なさい」

「えー、やだ」

「そ、じゃあもう助けるのやめよかな」

(それは困る! このまま戻れなかったら……って今の俺すごい美少女なんだよな……このままでも良い……かも?)


そんな考えを隠すようにおどける。


「ごめん! うそうそ、冗談だよ〜! お願い姉ちゃん! 見捨てないで!」

「はいはい、じゃあ寝なさいよ」

「うん……」

(多分素直だー、とかおもってんだろな)


図星だった。


つ・ぎ・の・ひ


「綾人……じゃない、綾花ー? 入るよー?」

(間違えるなよ、まあ無理もないけど)

「ちょっと待ってー」

(この体なってからBL本が好きなったとか言えねぇ、早く隠さないと……)


風花の部屋のベッドの下にあるBL本を持ってきていたようだ。

しかもこれを読んでいて結局寝ていなかった。


「いやー!」

(いやてなんだよ)

「て、ほんまに入ってくるなよー!」

「まあ良いから、早く着替えるよー」

「はああああ?」

「いいから早く〜」


BL本はすぐに布団の中に隠したのでバレなかった。

そして唐突にも第1回、秋のファッションショー開催された。


エントリーナンバー1!

ワンピース!

清楚で可愛い。


エントリーナンバー2!

セーター!(Vネック)

大人かわいい!(ロリだけどね!)


エントリーナンバー3!

ブラウス!

ちょっと大きくてぶかぶかだけどそれも可愛い!


エントリーナンバー4!

スカート!

もちろん可愛い!


エントリーナンバー5!

セーラー服!

とにかく可愛い!


「だめだ……何着せても可愛い……」

(いやほんと何着ても可愛いな俺…………楽しい…………)

「ありが…………何着着せんだよ! 終わりだ! 終わり!」

「えー! じゃあ服買いに行くよ!」

「やだわ!」

(あっ、つい否定しちゃった……)

「じゃあやめとこっか、しゃーない」

「い、いや……行きたい……」

「じゃ、じゃ、じゃ、じゃ、じゃあ行こっか」

(やったー!)


テンション爆上がりの綾花だった。

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