第14話 脳内会議は突然に!?(お久しぶりでございます)
2月と言えば何があるか?
そう、バレンタインデーである。
ちなみに私にはつくづく縁のないものだが、
私の会社ではそうもいかないんだよなぁ…
何故かって?今に分かるさ。
今日も今日とて仕事仕事仕事三昧の私は
大学の頃は今頃すでに休みだったよなぁ、なんて考えつつも
ひたすらパソコンを打ち続ける。
シルラが居候を始めてからというもの
若干お金の動き方が怪しくなってきたというもので…
シルラもシルラなりに働き口を探そうとはしてるみたいだけども
まだまだ見つからなさそうで…
あぁ悲しき社畜の鏡…
でもこれで社会が回るっていうのなら。
その時だった。
「花森さーん!!」
陽気な声がフロア中に響き渡る。
私の職場でこんな疲れてなさそうな声を出すのは
あの人しかいない。
山下さんだった。
こんな日にいったい私に何の用なのか?
もし望むことならこのまま自分の席に戻っていってほしい。
今日は頭が痛いんだよなぁ…
そんな私の内面もお構いなしに
山下さんは私のデスクのすぐ近くまでやってきた。
「花森さん、いつもお世話になってます!!」
当てはまるとすればコトンという音だろうか、
デスクに何やら小箱のようなものが置かれたようだ。
というのも今私は絶賛仕事中、
本来ならこの人も仕事してないとおかしいんだけど…
これは上への報告案件ですかな…?
「これ、いつもお世話になってる感謝の気持ちです。
受け取ってください!!」
仕事片手間にデスクを見ると
何やら可愛らしい小箱がちょこんと鎮座している。
いかにも私に似合わなそうな可愛らしいリボンやら何やら、
山下さんなら似合うだろうけどもさ。
「えっとぉ、これ何?」
「花森さん知らないんですか?
バレンタインですよ、バレンタイン。」
この娘、今バレンタインと言ったか?
その瞬間、私の意識はトリップする。
◇◇◇
ここは花森清華の脳内。
彼女に多大なる混乱が生じた際に協議が行われる場所である。
「では、本日の議題は『山下さんによるドッキリバレンタイン』についてです。」
気付けば私は丸い机を囲むイスの1つに座らされていた。
同じく机を囲むイスには私が何人も座っている。
えっと、私が1,2,3…6人。
全員そろって花森7というわけにもいかない。
タダならぬ状況で始まったこの会議、
私今どうなってるの?
「現在、花森清華はバレンタインと聞いて
大変大きな混乱に陥っています。」
おぉ、そうなのか…花森2号
私が何人もいて面倒くさい。
番号で呼ぶことにした。
「なぜだ?花森清華にとってバレンタインなど
単なる日付に付けられた名前ではないのか?」
「しかし…花森清華は女性から女性へ
チョコをあげるという文化を知らないようです。」
そんな文化あったの?
てっきり女の子が男の子にあげるとばかり…
そして報告を覆えた花森2号が再度口を開く。
「これは花森清華が“昔”のバレンタインしか知らず、
“現代”のバレンタインを知らないことが原因と考えられます。」
グハッ…
花森2号の発言、心にクリーンヒットした
しかもわざと“昔”と“現代”を強調してやがる。
おい頷くな!!花森1,3,4,5,6号!!
なんか私が時代に置いてかれたみたいじゃんか。
「以上より、私たち花森協議会は花森清華アップデートのため
山下さんのチョコレートを受け取ることを強く推奨します。」
待て待て、私抜きで勝手に判断す…
「「それでは行ってらっしゃーい!!」」
花森1~6号がこちらを向いて手を振ると同時に
再び私に意識は落ちていった。
◇◇◇
「…さん、…森さん、花森さん?」
「うわぁ!!」
気付けば山下さんが私の顔を覗き込んでいた。
いきなり動いたため、デコをぶつけそうになったが避けてくれる。
「どうしたんですか?ぼーっとして。」
山下さん曰く、
私は山下さんと話しているときに
いきなり気を失うようにして虚空を見つめ始めたんだとか。
そして私はその間、えっと…何だっけ?
そうだ花森協議会だ。
その花森協議会によく分からんまま参加させられて、
よく分からんうちに戻ってこさせられたんだった。
「それで、大丈夫なんですか?
早退した方が…」
「ううん、大丈夫だよ。」
一応、危ないものじゃなさそうだし。
一応帰ってからシルラに相談してみるか。
「それで、それはもしかして…私に?」
あ、正解だったみたい。
心配そうにしていた彼女の顔が一気に晴れ渡る。
これも新たな時代に着いて行くため。
奴らの言葉を借りるのは誠に遺憾ですが、
私自身のアップデート?のため…なのかな?
山下さんからチョコをもらい、
再び仕事を始める。
なんだかさっきまでよりも進みがいい。
今日はいつもより早く上がれそうだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます