第11話 受付ロボット
「マリア。荷物を受け取りに来たんだ。」
「そうかい、御前さんらの名前はなんだ?」
「ジン・フェニックスとレン、ケセラ、サクラだ。……名前だけでわかるかな?」
「ちょい待ちな。……新入生データ照合中……新入生にその名は各一名のみさ。オーケー、荷物を取りに行くから待っててな」
奥のスペースへ行き、二分程で戻ってくる。
キャリーケースは背中から伸びた取っ手が掴んで運び、旅行用バッグ四人分、かなりの重量を両手に抱えている。計8つのバッグを大きく積み上げたまま落とさず移動し、カウンターに下ろす。素晴らしいバランス感覚だ。
「一度でこの量を運ぶなんてすごいな。一体誰が作ったんだ?」
ケセラその一言の直後、先程のダンス時以上の輝きを放ち頭部がぐるぐると回転する。
「よくぞ聞いてくれたねえ。私を作ったのは偉大で素晴らしくて、とてもスペシャルで格好いい優秀なサザン校長さ!」
その褒め方には、「ああ絶対サザン校長作だな」と思わせる説得力がある。
「……ああ、失礼。その質問にはこのセリフが勝手にでちまうのさ。サザン校長が設定したんだ。愉快な人だろう?……この言葉は私の意思さ。自立学習・思考が可能なんだ」
あのダンスも発光も、サザン校長が考えたんだろうな。そうとなると、ポップコーン放出機能とかもあるんじゃないか?
黒のキャリーバッグと旅行バッグを受けとる。旅行バッグの半分は、ケセラのものだった。
「そんなに沢山何が入ってるの?学校用品と生活必需品以外。」
「えっとこのバッグには保存食と飲料、こっちは小麦粉とかが入ってる。学食はメニューが限られてるし、外で買うと高いからな。サンディガフに地元と同じもんがあるかわかんねえしよ。」
「成る程ね~。ケセラは食ガチ勢だねぇ」
かというレンもかなりの大荷物だ。
「レンは何をいれているの?」
「ああ、作業用の道具を持ってきたんだ。物作りが趣味でねぇ。これでも最低限にしたんだよ。あとゲームをいくつか」
「私は読書用のタブレットとスマホ、あと同じくゲーム機くらいだな。どうせならここで新しい趣味を見つけようと思ってさ」
「おっ。良いな!俺も部活動とかやったことないやつに挑戦したくてよ、あまり既存の趣味のものは持ってきてねえんだ」
生徒の人数も多い分部活動も盛んなようだ。パンフレットには私のミドルスクールとは段違いの部活数が載っていた。少ない同メンバーで同好会なども立ち上げているらしい。
何変哲ない魔法学校の日常 庭の小鳥 @niwaniirukotori
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