第7話
「……さて、誰も来ないうちに着替えるか……」
鏡の前に立って自分の姿を見て驚いた。
クローゼットの隣の壁に取り付けられた姿見に写っていたのは、膝裏まである長い艶やかな銀色の髪。深紅の右目に左目は翡翠のオッドアイ。何処か冷たい印象を持たせる顔立ち。それは、地球にいたときはずっと隠してきた姿だった。
「………………あぁ………この世界では普通なのか…………」
はじめは驚いたものの、この世界の記憶や知識を思い出すと納得した。この世界では黒髪黒眼の方が珍しいのだ。オッドアイはごく稀だが黒髪黒眼を持つ者よりは数が多い。なら、この姿で騒がれることはない。レジリオは私が極力目立ちたくないことを察してくれたのだろう。
「……しかし…………交易が盛んだと言うのは得だな。」
クローゼットを開くと殆どが着物だったから驚いた。オパール家は、日本に限りなく近い文化の紅苑国と呼ばれる国との交易が盛んだ。その為か父は、私に着物を着せたがる。転生前は着物を着て過ごすことが多かったため、私としては助かるが、外を歩くとかなり目立つ。クローゼットの中を見る限り、着物以外と言えばパーティー用のドレスくらいだ。
「ギルドに入ったら自分で作ろうか………」
動きやすい形やデザインを考えながら着替えていると、部屋の外から呼ぶ声がした。
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