第37話 『苦しめてごめん・・』
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緑茶が出された。
「友里、その……子供は堕ろさなかったんだな。
あんなこと言ったもののずっと気になってたから、友里のお腹見て
俺ほんとにほっとした。
ほんと良かった、堕ろしてなくて。
俺さ、術後どうなったか心配で何度かメールも電話もしたんだぜ。
ぜんぜん通じなくてさ、何かあった? っていうか、手術は
してなかったんだから大丈夫だったんだよなぁ。
あぁ、今何か月になった?
生まれるのは春頃になるのか、楽しみだなぁ。
手紙にも書いたけどさ、こっちで就職先見つけるから、
子供が生まれてくる前に結婚しよ」
「堕ろしてるわ、私たちの赤ちゃん。
術後の予後が悪くて病院を出た後ずっと家で寝たり起きたりだったの。
助けてくれる人も頼める人もいなくてすごく困った。
ほんとに死にそうだった。
皇紀に連絡しても返事してくれないし」
「そんなぁ~、ほんとに俺は友里からの連絡を一度も受け取ってないし、
俺の方からも気になってたから何度か連絡入れたけど友里からは
一度も返事がなかったよ」
「ただ、皇紀からは返事がないのに女の人からは何度か
連絡もらったかな」
「えっ……」
「皇紀、心あたりある?」
「いや……」
「最初にもらったのには、
『神尾が迷惑してるから連絡よこすんじゃない』ってメールに書いて
あった。
私は皇紀に相応しくないって。
そっか皇紀には新しい彼女ができて私のこと、邪魔になったのかも
しれないって思った。
中絶してほしいってお願いされたのもそれで辻褄があっちゃったしね」
「新しい彼女なんていないよ」
「あのね、そのメールにはあなたと女性がホテルの部屋で一緒のベッドで
寝てる画像が添付してあったけどもね。
なら、デリヘルとかお金払って女性呼んでたの?」
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