第35話 『苦しめてごめん・・』

35◆4



 皇紀は実に7か月振りに郷里の土を踏んだ。



 気持ちを抑え歩いて友里の家まで行くのももどかしく

タクシーで乗り付けた。



 当たり前のようにいつものごとく次の新しい家が見つかるまで

彼女の家に滞在するつもりでいた。


 十二分に反省していたはずなのに考え方が甘いというか、それくらい

過去の自分の所業がどれくらい酷い仕打ちだったかを

皇紀はまだまだ自覚できないでいた。



 友里の家の前に着くと、大好きな彼女に会える喜びでいっぱいだった。


 ちゃんと謝って俺たちはやり直すんだ。


 就職先を探して結婚もして、それから今度こそ何の憂いもなく

子供だって持てる。


 幸せの予感しかしない皇紀だった。


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