第30話 『苦しめてごめん・・』
30
◇トラブル
「ね、あれから友里さん何か言ってきてない?」
そう訊くと神尾は力なく首を横に振った。
「いや、あれから何度か連絡してるけど返事はきてない……な」
「ふ~ん、そうなんだ。
折角神尾くんが連絡してあげてるのに何様っていう感じだよね」
最近、根米の発言が過激すぎるし的を得てなくて少々うんざりする。
何様って? 友里はそんな女じゃない。
「今は術後で体調崩しているのかもしれない。
しばらく気長に連絡を待つよ。
ひとりで心細い思いをしていると思うし」
神尾の友里に対するやさしさ満載の発言を聞いて根米は焦った。
自分の計画通りに運んでいない現状に。
もっと友里に悪感情を持たせないと、と。
だから神尾にこう進言した。
「彼女のお腹の子は他の男の子供で、もしかしたら中絶などしてなくて
産むつもりかもしれないわよ。
あなた、他の男の子供ができて捨てられたのよ。
大丈夫だよ、私がいるから。
たまにじゃなくて、ずっとこれからも慰めてあげるからさ」
◇ ◇ ◇ ◇
神尾は根米の顔を見つめる。
この女は何を言ってる?
友里に
ずっと俺を慰めるってどういう……。
根米の話を聞いて俺は頭が痛くなってきた。
「な、そのずっと慰めてあげるというのはどういうこと?」
「えー、今更そんなこと訊くかなぁ~、いやぁ~ん。
私たち深い関係になった間柄なんだよ、決まってるじゃない。
私が友里さんの代わりにあなたの奥さんになってあげるって言ってんのよ」
「俺と君とはそーいうんじゃないだろ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます