第25話 『苦しめてごめん・・』

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友里に対して酷いことをしている自覚のある神尾は罪悪感に苛まれながら

仕事を終え自社ビルを後にした。



 そして根米が作って送った文章の内容を撤回する文、すなわち

『産めばいい』という文面を何度も何度も送り直そうと思い、帰宅途上で

スマホを手に取るのだがいまひとつ決めかねてとうとう家についてしまう。



 自宅でもずっと『産めばいい』という文面を送ろうかどうしようか

悩み続けるのだが、その夜になっても神尾は結局送らずじまいに

なってしまった。



 あれから友里からの連絡も途絶えてしまい……。




 早く産んでもいいと言ってやらないと友里が今日にも堕胎する為に

産婦人科の門をくぐるのではないか、そう思いあせるばかりのくせに、

やっぱり自分には荷が重すぎて友里に良い返事をしてやれない。



 転勤さえなかったら、おそらく自分は今回の妊娠を機に

学生時代から付き合ってきた友里と結婚し家庭を持ったことだろうと思う。

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