第6話 『苦しめてごめん・・』
6
「お肌がきれいになったのは最近評判の良いちょっとお高めな
クリームに変えたからかも。
そんなふうに言われてうれしいです。
でも……抜け駆けとか勝負とかってよく分からないんですけど」
「とぼけなくていいわよー。
この春地方からここ本社に転勤で来た営業の神尾くんのことに
決まってるじゃない。
久々の大物だもの。
そんな中でもあなたが今一番彼と親しそうじゃない?
先週事務方の女子何人かで久しぶりにお茶して帰ったんだけど、
話を聞いてるとさぁ、皆見てないようでちゃんと見てるんだよねー。
根米さんが抜け駆けして彼にちょいちょい、ちょっかい出してたの
モロバレなんだよね。皆あきれてたわよ~」
「え~、心外だなぁ。
私そんなに神尾くんに話し掛けたりしてませんよ」
「それがさぁ~、お茶した日にばっちりバレちゃってるんだから、
しらばっくれてもだぁ~め、駄目ダメよ。
永野ちゃんが、あなたが
話し込んでたのを2度ほど見てるって。
それと今田さんも
あなたたち2人の姿を一度見たことがあるって言ってたわ。
誰にも気付かれてない見られてないって思ってるかもしれないけれど、
それこそ壁に耳あり障子に目ありなんだから」
「いつのことを言われているのか分かんないですけど、仕事上の悩みを
聞いてあげたことはあるのでそのことかも。
だけどそういうの神尾くんにだけじゃあないですよ。
今名前の出た永野ちゃんが入社してすぐの新人の頃も悩みの相談相手に
なったこともあったのに、その当人からそんな風に告げ口みたいに
言われてたなんてちょっと私、ショックだなー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます