b-4/4. 視聴者曰く、神回

 


※全部会話文。



 〝こうして見てると、ものづくりに特化した魔法って意味がわかるなぁ〟

 〝やろうと思えば鍋とか釜もいらなそうだけど…〟

 〝錬金術の工程を全部頭の中で完結させるのって大変よ〟

 〝魔素集めからして大変だろうしなぁ〟

 〝普通に魔法で使う魔素量じゃねえよ、あれ〟

 「やけん錬金術で繁栄した文明を築いた種族が、なんでか魔素減ってったせいで滅んだ、って聞いたわ」

 〝あれ?錬金術ってアルストロメルディア人発祥じゃないの?〟

 「いや、その滅んだ種族のおった惑星ほしに行ったときに、そういうのがあるのか!ってなったんやって」

 〝なるほどなぁ〟

 〝魔素が減るのはなんでだろうなぁ〟

 〝太陽系も、大昔は魔素があったんかね?〟

 〝ありえない話じゃないけど、それを調べる手段が今のところないんだよな〟

 〝魔法を使った後の魔素ってなくならないのに、どこいってんだろ…〟

 〝魔素吐く穴があるなら、魔素吸う穴もあるんかね〟

 「かもしれんなぁ」

 〝まだまだわかんないことだらけだなぁ〟

 〝ところで烏さん〟

 「なんや?」

 〝魔素なくなってません?どこやったんです?〟

 「残り全部、ゴーレムコアにぶっこんだったわ」

 〝やべえのができあがる予感しかしねえんだが?〟

 〝高純度魔石に、魔法を込めるとはいえさらに魔素注入…?魔石壊れません…?〟

 「それが不思議なことに、錬金術の素材として使うと、どんだけ魔素込めても壊れへんねんな」

 〝魔法って形になってるとか?〟

 〝なるほど、魔素が魔法の形になって魔石に込められてるなら大丈夫…なのか?〟

 「そこらもよぉわからんまんまなんよなぁ…」

 〝よくわかってない技術って怖い。怖くない?〟

 〝なんだかわかんないけど使えてるならヨシ!〟

 〝ヨシかなぁ?〟

 〝そもそも魔法がなんで使えてるかもわかってない〟

 〝それな〟

 〝なんか使えてるからヨシ!〟

 〝ヨシにしてるだけなんだよなぁ〟

 〝使えないなら使えないで不便な魔法〟

 〝そら文明も滅ぶわってレベルで魔法が便利すぎる〟

 〝だから魔素依存な生活してない銀河系が狙われるんだよな…なんで戦争しかけてくんだよ。まずは会話しようよ〟

 〝そこはほら、言葉使わない種族とかいるし…〟

 「アルストロメルディア人が知的好奇心旺盛なおかげで、言葉の存在知っとったのは助かったわ」

 〝第二次はあの人らのおかげで戦争収束したようなもんだったなぁ〟

 〝思考内容ダイレクトアタックなテレパシー使える連中多くね?それとも受信できない俺らが悪いの?〟

 〝波長が合わなきゃ受信できねえよ…せめて波長合わす努力してくれよ…〟

 〝それをせず戦争仕掛けてきた連中滅んでざまぁ!〟

 〝穏健派様々ですわぁ〟

 〝ミェリャウ人だっけか、メラウ人だっけか〟

 〝人間には発音できない上にまともに聞き取れない音とか神話生物かな?〟

 〝アルストロメルディア人の発声器官は太陽系人と違うからな…音として例えるなら、って回答がミェリャウだかミリャウだかだったはず〟

 〝邪神も地球の現地人からしたら侵略者みたいなもんだから一緒一緒〟

 〝一緒かなぁ…〟

 〝魔素少ない太陽系で無理に魔法使って最終的に自滅したような連中が邪神と同じわけないだろ!〟

 「よくて奉仕種族ちゃう?」

 〝それもどうかなぁ?〟

 〝下っ端の下っ端ってならわかる〟

 〝下請けの下請けの、そのまた下請けの下請けかな?〟

 〝どこのブラックインフラ企業ですかねぇ、それ〟

 〝末端すぎた上に伝言ゲーム失敗してお上の命令間違えたまま動いちゃうやーつ〟

 〝その末路がアレ〟

 〝どっちも滅んでるなぁ〟

 〝なるほど、連中はクソ企業と同列。把握〟

 〝…で、なんの話だっけ?〟

 〝脱線しまくってて笑う〟

 「できたでー」

 〝しれっと完成させてーら〟

 〝わぁ…見た目はただの球体関節人形だぁ…〟

 〝なお溢れ出る魔素量〟

 〝ダンジョンにいそう〟

 〝ボスやってるやつじゃん〟

 〝それが変形…やばない?〟

 〝変身!ってなる?〟

 「特撮系の変身にはならんなぁ。たぶんスライム系の変形になる」

 〝やべえ〟

 〝球体関節人形がロボに変形とか、それなんてアニメ?〟

 「あとこいつ、なんか変なイメージ湧いたけえ、たぶん腕がとっつきになる」

 〝とっつき?〟

 〝なんでパイルバンカー?〟

 〝あ、とっつきってパイルバンカーのことか〟

 「なんか、ふっとイメージ降りた」

 〝…ゴーレムつくるとき気をつけよう…〟

 〝あ、動いた〟

 「おはようさん。調子確認して、問題なけりゃ頷き1回、ありゃ2回よろしく」

 〝おお、もうこの段階で指示に従うのか〟

 〝できて起動に時間がかかるのはwhy?〟

 「起動には製作者の魔力馴染ませんとなんや」

 〝なるほど、魔力馴染ませる必要があるのか〟

 「早よ馴染まそうと魔力どーんとぶち込むと、魔力無駄に消費するだけで早さ変わらんけん、やらんほうがええで。桶からコップに勢いよく水入れたら、ばしゃっと溢れるやろ?」

 〝なるほど〟

 〝わかりやすい〟

 「ん?ああ、あんた創ったとこ配信しよったんよ。そこらの知識もインプットしたと思ったけど…あ、把握した?ならええわ」

 〝ん?すでに契約状態?〟

 「コアに魔力も込めるようなもんやけんなぁ。それが契約とおんなじ効果出しとるんかもしれん。血抜き用スライムがそうはいかん理由はわからんけど」

 〝はぇー〟

 〝そういうこともあるのか〟

 「おっし。んじゃあんたの名前はかっちゃんにするな」

 〝ネーミングぅ…〟

 〝解体のかっちゃんかな?〟

 「あたりー」

 〝当たっても嬉しくないなぁ〟

 〝烏さんにネーミングセンスを期待してはいけない…〟

 〝名前くらいコメントで募集してくれよぉ!〟

 「えー?」

 〝えー?じゃなくてですねぇ…〟

 〝諦めようぜ…〟

 「まあええわ。ロボ形態になってー」

 〝よくねえ…って、なんか思ってた変形と違う!〟

 〝ぐにゃんて、ぐにゃんて…〟

 〝変形の仕方がスライムじゃん!いや、言ってたけど!〟

 〝いや、まあ、変形といやスライムってなってもおかしくないけど…〟

 〝もうちょいメカメカしくガチャコン変形させようぜ…〟

 「なーんか変形うたらスライムってイメージが抜けへんのよなぁ…」

 〝わからなくはないけどさぁ…〟

 〝変形の仕方はともかく、変形後はアレだな〟

 〝頭身ちっちゃいけど、某ACの通常二足?〟

 〝逆関節いける?〟

 「逆関節はどうやろ…あ、いけたわ」

 〝合わせて各ボディパーツがしゅっとスタイリッシュになった!〟

 〝カラーリングが残念だけど、形状はイケメン〟

 〝色変化ってできんの?〟

 「そういう素材使って組み込んだらいけるで。今回は使ってへんけえ無理」

 〝おっけー。後で試してみよ〟

 〝色変わる素材って何があったっけ?〟

 〝ゲーミングスライムもあり?〟

 「ゲーミングスライムは下手したら、ゲーミングカラーに光るやつできるんちゃうかなぁ」

 〝それはそれで面白そう〟

 〝ゲーミングゴーレムとかいうネタモンスつくれるのか…〟

 〝目に痛そう〟

 「お、とっつき。やっぱできてもうたかぁ」

 〝烏さん、イメージに某アーマードなやつなかった?〟

 「あった。原因それやなぁ」

 〝腕が刀になった!かっけえ!〟

 〝え、思ってたよりかっこいい〟

 〝腕に付くのもいいけど、肘から先がまんま刀身になるのもありだなぁ〟

 〝長さが最早物干し竿なんよ〟

 〝お、指が刃物になった。そういうのもいいなぁ〟

 〝シザーハンズか、いいね!〟

 〝双子で錬金術、思ってたより難しいってか魔力持たない!〟

 〝同じく三つ子、魔力不足でダウン中。途中で止まってる〟

 〝四つ子でーす。どうにか亜空間ポーチできたよー。もうしんどい!〟

 〝おめおめー〟

 〝おめでとー〟

 「おめでとさん」

 〝ありがとー。いやぁ、イメージ云々はどうにかなったけど、魔力やばいね!すっごい持ってかれた〟

 〝想像の10倍以上だった〟

 〝つくるもの考えればたぶんどうにかなる。同じく亜空間ポーチつくろうと思ったけど、魔石にインベントリイメージ込めるときにめっちゃ持ってかれた〟

 〝うちらは双子だからってのでお揃いの魔道具アクセサリーつくろうと思ったんだけど…〟

 〝形整える段階で力尽きちゃった…お水溜める段階で結構きつかったよ…〟

 「魔素水なぁ…あれ、つくるもんに合わせて魔素量調節すりゃあだいぶ温存できるで。アクセサリーやったら、うちがゴーレム創ったときの魔素量の5分の1くらいでええんやないかな」

 〝え、そんな少なくていいの?!〟

 「付ける効果多くないんやったらそんなもんやで」

 〝なるほど、回復したらまたチャレンジしてみる!〟

 〝その前に元の素材の形に戻さないとだ〟

 〝亜空間ポーチは?〟

 「めっちゃ持ってくよなぁ、あれ…ポーチ内の空間拡張のイメージやったら、拡張範囲次第で節約はできるけど…」

 〝ふむふむ、まずは仕様の見直しからやろう〟

 〝烏さんのは範囲どれくらい?〟

 「うちのは…確か、元のポーチの100倍やったかな?それでさっきゴーレム創ったときと同じ魔素量やったはず」

 〝時間停止は?〟

 「ないで。ただ遅くはしとる」

 〝時間遅くする素材ってなんかあったっけ?〟

 〝あ、スロウスフロッグ〟

 〝あー、吐き出す粘液が魔法みたいなやつ〟

 〝粘液触れたら思考速度も呼吸も心拍も何もかも遅くなるやつじゃん〟

 「そいつの粘液採ってくるん大変やけど、その価値はあるで」

 〝だよなぁ…がんばって採ってくるかなぁ…〟

 〝あれで推奨Aランクってバグじゃね?〟

 〝粘液吐いてくるだけだからなぁ〟

 〝粘液被せたら逃げるからな、あいつら〟

 〝おかげで素材価格が高いままなのがやべえ〟

 〝供給量少なくなるのは仕方ない〟






その後、雑談したり錬金術の相談にのったりして配信終了。






※ミェリャウ人(聞き取り側がうまく聞き取れない音のため、ミリャウだのメラウだの、呼び方いろいろ):戦争仕掛けてきたくせに、その多くが自滅していった異星人。植物由来の組織、細胞で体が構成されているため、植物人とも言われる。戦争を仕掛けてきたのは、無線の周波数調整ミスのようなもの。「要望連絡したのに聞いてないな?なら戦争だ!」ってしたけど、太陽系人からしたら「なんか急に戦争仕掛けてきやがった!応戦じゃ!」ってなった。太陽系側が勝った。自分たち基準でしか物事を考えられなかった連中の自業自得。一応戦争反対派という名の穏健派が数十名いたので、それらにアルストロメルディア人が太陽系人の言い分を伝えた結果、第二次太陽系防衛戦争が終結した。ミェリャウ人の人口が約10万分の1(元々2京人ほどいたらしい)になったが自業自得。

※ゲーミングスライム(英語圏ではColorful Slime):1680万色に光輝く、神出鬼没なスライム。ダンジョンの外でも中でも、いるときはいる。何もしてこないが、目に痛い。たまにテレパシーで会話しようと試みてくる個体がいる。意思を持ち、思考する知的生命体。そのためモンスターとは別として考えられている。頼めば体の一部を分けてくれることがある。

※スロウスフロッグ(英語圏ではSlowing Mucus Flog):遅くなる魔法が込められた粘液を吐き出す、小型犬(成犬)サイズの草食性のアマガエルに似たカエル。非常に臆病、かつ外敵を倒す手段を持たないため、見つかったら触れた物の時間の流れを遅くする粘液を吐き出し、付着したのを確認したらすぐ逃げ出す。粘液は亜空間バッグの材料に、内臓は風土病の治療薬に使えるため、入手難易度が高いのもあって素材価格が高騰しがち。場合によっては魔石より高くなる。討伐推奨ランクはAだが、「詐欺だ!絶対詐欺だ!」とAランクとSランクは言う。

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