b-2/4. 視聴者曰く、神回
※全部会話文。
「錬成は錬金術でやれること全部詰め込んでやる、ある意味奥義的なもんや。スライムやゴーレムみたいな魔法生物だけやなく、魔道具も作れるで」
〝おお〟
〝烏さんが使ってる包丁が錬金術でつくったやつだっけ。あれも魔道具?〟
「魔力込めたら切れ味が上がるだけの、魔法の肉切り包丁やでー」
〝それはそれで便利〟
〝瞬間火力上げられんじゃん〟
「まあそういう、オリジナル武器がつくれるって点でも、できたら楽しいのが錬金術やけど…抽出、合成、結合でも
〝うー、魔力操作あんま得意じゃねえ…〟
〝やれるようになっといたほうがいいよー?魔法使う時の無駄が減って、魔力温存しやすくなるから〟
〝がんばる…〟
〝一朝一夕では目的の物をつくれないのは承知の上〟
〝魔力操作の練習なら付き合うぜー〟
〝ありがてぇ…〟
〝なんかおすすめの練習方法ない?〟
「簡単っちゅーか、やってて飽きんのは水遊びかなぁ…小指の爪くらいちっちゃい水玉を、だんだん人の頭くらいの大きさにしたり、その逆に小さくしたり…慣れたら形変えたり動かしたり。それを運動しながら、会話しながらできたら完璧や」
〝危険が少ないからって、軍でもやってる練習法〟
〝ほうほう。遊びながらできるのはいいね。ありがとう、やってみるよ〟
「慣れてへんとそもそも形を維持するのが大変やからなぁ…おんなじイメージって、
〝わかる。なんかいつの間にか違うイメージ浮かんだりする〟
〝そうか、魔法ってイメージの具現化だから、維持するの大変なのか〟
〝錬金術も一緒か…〟
「せやでー。しかも前のイメージを頭の横に置いたまんま、次のイメージを浮かべる、それの繰り返しや。せやから結構向き不向きあるんよなぁ…練習しただけでできるようになるにゃ、相当時間かかると思うで」
〝頭の中でクラシック流しながら、ロックもデスメタルもサンバも流す感じ?〟
「その例え、それっぽいな」
〝あ、ならできるかも〟
〝まじか〟
〝なんかよくわかんないから、まず水玉作って考える!〟
「それでええよ。まず、なんも考えんとやってみるんは大事や」
〝がんばる〟
〝これも血抜きの苦労からおさらばするため…〟
「んで、血抜き用スライムの材料なんやけど…ぶっちゃけおもちゃのスライムと魔石、自分の細胞と血がありゃできるんよなぁ…」
〝血はわかるけど、自分の細胞…?〟
〝え、何、そんなもん使うの?〟
「主従関係の確立と初期能力設定に大事やねん。他人の細胞でもええけど、その人の言うことしかきかんくなる」
〝ほうほう〟
「ちなみに脳細胞を使うと賢さも上がる」
〝そんなもんどうやって取れと…〟
〝医療用ポッドで採取してもらえるかなぁ〟
「軍関係者やないと難易度は高いやろな」
〝ですよねー〟
〝一般人には無理かぁ…〟
〝軍関係者でも難易度高くない?許可出る?〟
「許可出らんかったけん、かっぱらったったわ」
〝おい〟
〝何やってんの?〟
〝怒られない?〟
「めっちゃ怒られた」
〝ですよね!〟
〝そりゃそうよ〟
〝怒られないほうが不思議〟
「なんかあったとき用に培養しとったうちの各種細胞なんやけえ、別にええやん?」
〝なんかあったわけじゃないからだめです〟
〝いやでも、気持ちはわかる〟
〝血抜き時間短縮は急務〟
〝でもこの人、血抜き用スライムがいなかった時でも、獲物掻っ攫われなかったんですよ〟
〝やり返してたな〟
〝血抜き中の獲物を餌に他のを誘き寄せてたまである〟
「それでもさすがに待つのだらしいねんな」
〝まあわかる〟
〝待ち長いんだよな…〟
〝そして気が抜けない〟
〝血抜きが終わったあと、どっと疲れが出る…〟
〝安堵で気が抜けるんだよな。そんでもう他のを狩る気が失せる〟
〝わかる〟
「やけん、がんばって血抜き用スライム作れるようになろうな」
〝はーい〟
〝がんばる〟
〝ところで魔石ってなんでもいいの?〟
「できれば純度が高いやつがええなぁ。うちがちーちゃん創った時は、火龍の心臓にあった魔石
〝魔素純度どころか透明度もやばそう〟
〝火龍とか無理!〟
〝でもドラゴン系から取れる魔石は確かにありか〟
〝Sランク以上ならそうでしょうよ〟
〝しがないAランクでは滅多に手に入らねえよ…〟
〝Aランクから入れるドラゴン系ダンジョン、魔石ないやつばっかなんだもん…〟
〝パーティ組めば行けない?〟
「パーティの3分の2がSランク、他AランクならSランクダンジョン行けるけど、浅いとこまでしか許可出らんで」
〝うん、確か10階くらいまでしか許可出ない〟
〝どっちにしろ魔石持ちが出る階層までは行けないか…〟
〝ここらで取れる他の魔石って何があるっけ?〟
〝変異種のミノタウロスとか、アルミラージとか?〟
〝まあ、そいつらは他より魔石持ちの確率高いか〟
〝変異種ミノは死ねる〟
〝討伐推奨ランクSじゃないですか。しがないAにはきついですよ〟
〝Sでも6人パーティじゃないと無理〟
〝突進パリィできるやつがいれば安定する〟
〝あとは高火力出せるやつがいれば楽。早く討伐できる〟
〝皮が綺麗かどうかは、まあ、組んだやつ次第かな…〟
〝Aランクが魔石入手するには買うしかないのか…高いんだよなぁ、あれ〟
〝Aランクでも手に入る魔石なら変異種アルミラージか?あれ、一応討伐推奨ランクAだったろ、確か〟
〝先月Sに格上げされました〟
〝あらら〟
〝まあ、あいつに怪我させられるやつ多かったけどさ…倒せなくて逃げられたけどさ…〟
〝Aでも倒せないことはないけど、難易度高いみたいだからSに上げようって、先月の会議で出た〟
〝倒せないことはない。確かにその通りですわ…〟
「あいつ、ろくに攻撃できひんと煽り散らかすからなぁ…」
〝あれほんと腹立つ〟
〝煽るだけ煽って逃げるからさらに腹立つ〟
〝わかる〟
〝あいつを見たら蹴り飛ばしたくなる〟
〝わかる。サッカーしようぜ!お前ボールな!って気持ちで蹴ってる〟
〝恨み買いまくってるなぁ…自業自得だけど〟
〝あいつの角をへし折ってやった時の絶望顔が好き〟
〝わかる〟
〝角折ると絶望顔になるのか…がんばろ〟
〝あの顔を見るためだけに変異種ラージを積極的に狩ってる〟
〝Sランクの闇が深い…〟
「やばい性癖目覚めさせんようにな…お嬢のように…」
〝…自重しよ〟
〝目覚めかけてた?!〟
※魔石:魔素を大量に含んだ宝石、あるいは鉱石や結石。魔素の量が多ければ多いほど、なぜか高い透明度を有する。ダンジョン内の鉱床から掘れる場合があるが、ごく稀。魔石の鉱床自体は滅多になく、それを探すよりも変異種やドラゴン系モンスターを狩ったほうが数を確保しやすい。魔法生物や魔道具の主原料。
※火龍(英語圏ではFire Worm):エレメンタルドラゴン系の火属性特化型ドラゴン。オレンジ色や黄色の炎を纏う、赤黒い鱗を持つ東洋の龍。個体によっては青色の炎を纏っていることも。フィールドタイプのダンジョンにしか出てこない。ダンジョンの高度1万フィートより上を飛んでいて降りてこないため、空が飛べなければ戦場づくりができない。烏は雨を降らせて挑発し、地上に近づけさせてから頭骨と頸骨の繋ぎ目辺りを狙ってアダマンタイト刀で切り落とした。肉は不思議なことに、脂のりのいい穴子に似ている。白焼きでも蒲焼きでも天ぷらでも美味しい。討伐推奨ランクはEx。
※アルミラージの変異種:別名、鋭角脱兎。縦に並ぶ2本の角が捻れ、絡み合い、1本の角に変化したアルミラージ。通常種以上にちょこまか動き、凶悪な角で突き刺し攻撃を行い、時折こちらをバカにした表情で翻弄してくる。一部からは煽り兎と呼ばれるほど煽り性能が高い。散々バカにした後はとっとと逃げ出す。しかも肉は食べられたものではなく、角と皮も他の変異種に劣るため、狩っても旨みはない。ただ、やってやった、という達成感が残るだけ。討伐推奨ランクはS。
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