第4話 砂プリン その1
そんなこんなで朝一番にプリンを食べに行くことになった。
ちなみに美月は朝に弱いらしく、昨日あんなにはしゃいでたのに今はそれで首謀者かってほどにこうなんというか、スーンとしている。
「ほら、お前が行きたいって言い出したんだぞ」
黒騎が呆れてそう言う。
「ふゃい」
人間には出せなそうな返事をしながら美月はボーッと歩いている。
「まぁまぁ、眠いんでしょ」
俺はそう返事をしながら周囲を見回す。
見たことのある風景の気がする。特に看板とか転生前の鳥取にも見えないこともない。俺は市の出身じゃないから鳥取市がどんな感じなのかはぼんやりとしか思い出せないが、確かこんな感じだった気がする。
そんな事を考えてると、もしかしたら険しい顔でもしてたのだろうか、
「そんな怖い顔するなって、ここは街だから敵なんて出ねぇよ」
そう黒騎に言われた。
「い、いや、見たことのある風景だなと思って」
慌てて答える。黒騎は今度は首を傾げて
「は?、そりゃ一昨日からいるからな」
と、かなり不思議そうに聞いてくる。
「そ、そういえばそうだったな」
慌てて取り繕う。このゲーム(?)前提要素多すぎだろ…
一人でぼやきつつ、昨日の砂丘の隣の道を3人で歩く。
「みえてきたにゃ!」
さっきまで死んだような目をしていた美月が急に大きな声を出す。目をキラキラさせながら。
「うっ、うっるせぇな」
耳元で大声を出されたらしい黒騎がぼやく。
「だってプリン!プリンプリン!」
美月は脳死状態のようだ、ご愁傷様です。ちなみに黒騎の目は死んでいる。あの顔だと耳も死んでいそうな感じだ。俺も耳が痛いよ。
「「はぁ…」」
男たち二人は朝一から疲弊しきっているのだった。
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