あの時のmist.

 あの時はMintの香りがして

 ふと振り返ると充満する湿気に

 むせ返る熱気

 僕は手で顔を覆い

 Mistを拡散させる

 青白い月の増す海の下

 純白にも似た蒼白の砂を

 そっと握りしめ

 僕は横たわる

 「ここは地獄だ。天国と言う名の地獄だ」

 そう

 太陽が描いていた影の当たる斜陽は地獄で

 地獄を目を突き刺す疾蒼の青で埋め尽くされ

 見切り発車したのは僕のクルクルと手から解かれていく一握の砂

 この砂を星の貝殻として

 砂時計としたのだ

 大切にしまって置いたタイムカプセルとして

 海に流す

 いつか、手に入れてやるんだ……

 いつか、僕が君に出会ったその時に

 海に覆いかぶさった僕は立ち上がり、勢いよく走った

 その先の1万フィルムのStripecolorの君が立っていて

 純白な淡い肌をさらけ出していた

 そんなまさかね……

 混乱する僕とまっすぐな君が追いかけ合って

 くるくるしたパラソルと

 青白い液は飲みかけのクリームソーダ

 そうだ

 今は夏

 僕はそれを思い出す

 だから

 君に伝えなくちゃ

 君と僕に未来があること

 地平線は前に向かって進んでいること

 いつだって前にしか未来がない事

 色んなことを僕は伝えてきたけど

 君にどうしても言わなかったことがあるよね

 「貴男が夢見た未来図に、あたしが居るってことが幸せだね」ってどういう意味?

 分からないまま混乱した僕に

 君は手のひらにそっとkissをした 

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