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桃からの着信が3回も来ていて、そして私はそれを全部無視していたことについて、今私は説教されているような気分だった。



「大体、どうしてあんな分かりやすい嘘つくの?誰も嘘だなんて疑ってなかったけどさ。僕にはすぐに嘘だって分かったよ。男のところに行くんだろうなってことも分かったし。」



こんな調子で、半分酔っ払った桃が私にずっと先日の話をし続けている。確かに電話をスルーしたり、メッセージを返さなかったのは悪かったかもしれないけど、そもそも桃は私の彼氏でもなんでもないのだから、こんなに言われるのは私としても腑に落ちない部分があった。もしかしたらみんな、こうやって切っていくきっかけが出来ているのかもしれないな。



「僕、別に途中で抜けたことに怒ってる訳じゃなくて、返信来なかったことに怒ってるんだよ。だって、柚葉さんもそれなりに飲んでたし、次の日休みだって言ってたから、変な男に襲われちゃったりとか?そういうのが心配だったんだよ。だから、」



饒舌に話す桃に適当に相槌をうって、そうだね、なんて言って流していた。心の中では自分のことを言われてるなんて1ミリも思っていなくて、よく喋るな、なんて思っていた。これじゃあお酒も進まないし、ご飯だって進まない。



「柚葉さん、聞いてる?」



そう言って私の顔を覗き込む桃。顔はいいのよ。可愛くて仕方ない。でも、ちょっと説教が過ぎる。こういう関係を選んだのは桃なのに。



「聞いてるよ。今度からちゃんと連絡するから。ごめんね。」


「そうしてよ。本当に僕、柚葉さんのこと心配してるんだから。僕の知らないところで何をしててもいいけど、柚葉さんが怖い思いとか嫌な思いとかするのは、僕だって嫌だから。」



口に出してることと、自分の奥底にある気持ちが全然違いそうだな、と私にも伝わるような、あからさまな嘘のようなことを言って、全てを正当化しようとしている桃。この人、私とどうなりたいのだろうか。


目の前の冷めた焼き鳥に手をつけるけど、あまり味がしない感じがした。頭の上から降ってくるような桃の話は、私には理解出来ない。理解出来ないというか、したくないというか。何にせよ、もういいだろ、と思うことが永遠に降り掛かってきているようだった。


この日は精神的にあまりにも疲れてしまったから、桃の誘いを断った。家に帰ってから思い返しても、もう無しなのかもな、なんて考えていた。

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