geosmin

mituna

geosmin

寒いのか暑いのかすらわからない

橋の欄干に手を預けて

ただそこにある水面を眺めてる


きらきらしてる


あのみずを掬い取ってみたい

両手、いっぱいに


それか

私は


あれになりたい



気づいたら

雨、降ってた


熱いあいつがどっかいって

水面も灰色

何も映らなくなった


そしたら私、なんか座りこんじゃって

アスファルトが手のひらに食い込んだ

ちょっと寒かった



どれくらい経っただろう

そうしてたら、橋の向こうから誰か来て

傘を持ったまま、差さずに歩いてきて

ずぶ濡れだった


その人は私の前まできて


「大丈夫ですか?」


手を

傘を持ってないほうの手を

伸ばしてみせた


「ありがとうございます」


手、掴んで

引っ張ってくれて

立てた


「あなたはどうして、ずぶ濡れなんですか?」

「…どうしてでしょう。なんか、濡れたくて」

彼の笑った顔を見て

あったかいなって思った

私も笑っちゃった


雨の勢いが弱まってきてる感じがした

正確にわかるものじゃないけどわかった


彼はそうして

その道具を持って

秘密基地みたいに

雨が降り止むのを一緒に待ってくれた













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geosmin mituna @mituna44

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