geosmin
mituna
geosmin
寒いのか暑いのかすらわからない
橋の欄干に手を預けて
ただそこにある水面を眺めてる
きらきらしてる
あのみずを掬い取ってみたい
両手、いっぱいに
それか
私は
あれになりたい
気づいたら
雨、降ってた
熱いあいつがどっかいって
水面も灰色
何も映らなくなった
そしたら私、なんか座りこんじゃって
アスファルトが手のひらに食い込んだ
ちょっと寒かった
どれくらい経っただろう
そうしてたら、橋の向こうから誰か来て
傘を持ったまま、差さずに歩いてきて
ずぶ濡れだった
その人は私の前まできて
「大丈夫ですか?」
手を
傘を持ってないほうの手を
伸ばしてみせた
「ありがとうございます」
手、掴んで
引っ張ってくれて
立てた
「あなたはどうして、ずぶ濡れなんですか?」
「…どうしてでしょう。なんか、濡れたくて」
彼の笑った顔を見て
あったかいなって思った
私も笑っちゃった
雨の勢いが弱まってきてる感じがした
正確にわかるものじゃないけどわかった
彼はそうして
その道具を持って
秘密基地みたいに
雨が降り止むのを一緒に待ってくれた
geosmin mituna @mituna44
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます