旬刊「ひだまり」便り 夏~ 3 山脇耕司の場合~
世芳らん
プロローグ 男の回想
どこに行っても奴は私の頭の中にいて、私を鼓舞し、苦しめる。
壁際に寄せられたベッドの上で、時折浮かぶ奴の顔を、あえて考えまいとして男はきつく目を閉じた。そんなことをしても意味のないことは分かっている。奴が存在しているのは、他でもない、自身の中なのだから。
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