喰犯
第10話 あなたは彼を殺せない
私は、人質にされた…
それは、約5分前に遡る…
「ここに入るには、通行料を払ってもらおうか…」
今回の相手は、頭の逝かれた金持ちだった。
人質を寄越せぇと叫ぶ悪魔は、キプトとの交渉により、私を奴隷にすることでキプトの入城を許可した。
現代日本で城を築く奴がいるか‼︎とは思ったが、まあ、悪魔さんなんだし仕方ないと、受け止めた
「楽しくなってきたぞー」
手錠を繋がれた状態で私は言った。
本来なら、私が天使を助けに走るべきところだが、キプトの方が強い。
私と比較してはいけないくらいは。
そう言うことなので、モブどもの悲鳴を聞きながら、寝た。
ちなみに、起きた時には目の前に大量の指が転がっていたのだ。
そして、悲鳴は続く…
三日が過ぎた…
相変わらず私は拘束されていた。
場内では、キプトを探す爪どもの足音が響き渡っていた。
そして、そのキプト自身はというと、私の目の前でポップコーンを食べていた。
私もポップコーンを食べていた。
手は動かせないが、普通に食べていた。
少し顔を赤くしたキプトが、手を伸ばしてくる。
そこに掴まれていた、文化祭の余りである、バター醤油味のポップコーンは、暗闇の中に葬られる。
つまり、恋人同士がする、あれだ。
私は、子供の時に読んだ漫画でしか見たことがないやつをされていた。
俗に言う、【あーん】である。
バター醤油味のポップコーンを【あーん】されていた…
何故か。
それは、私の置かれている状況ゆえだ。
最初にキプトが私のところに来た時、
「敵が多すぎる。時間かかるからこれでも食っとけ」
そう言って、置いていったバター醤油味のポップコーン。
キプトが再びやって来た時、ちょうど私のお腹が悲鳴を上げた。
「だから食えと…もしかして、食べれないの?」
私は頷く。
そうして、キプトが正義を預けに来る時、同時に餌付けしてもらえるようになったのだ。
これが、かれこれ一週間続いた…
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