第6話 おっぱいを見てるだけ



 四時間目の授業も終わり、昼休みになった。

 俺は早速購買へと向かい、昼ご飯の菓子パンを買って戻ると、なんだか教室が騒がしい。

 自分の席に戻り、隣の西森に聞く。


「なぁ西森、教室が騒がしいが何かあったのか?」

「あぁ……俺も聞いた話なんだがな、俺のサッカー部のエースの先輩が瀬戸川さんに告白したらしいんだよ」

「それって、あの学校一イケメンとか言われるあの人か?」


 その人に関しては、あまり興味のない俺でさえよく知っている。

 サッカー部を支える絶対的なエースで、後輩の面倒見も良く、さらに学校一のイケメンだという。

 昨年のバレンタインの日には、たくさんのチョコが入った袋を両手に2つ持って持ち帰ったらしい。


「そうそう、それで瀬戸川さんはその告白を断ったんだってよ!」

「ほう、そうなのか」

「いやぁ……瀬戸川さんも全然男と付き合う気配無いよなぁ……もしかして、もう他の男と隠れて付き合ってるとか?」

「どうだろうな、俺は別にそういうの興味ないからな」

「ふぇ?あんなに瀬戸川さんのこと見てるのに?瀬戸川さんのこと好きなんじゃないのか?」

「俺はめぐ……じゃ無かった、瀬戸川さんのおっぱいを見てるだけだって何回言えば分かるんだ?恋愛感情は無いぞ」

「はいはい、中学生みたいな言い訳はいいから。ひとまず瀬戸川さんは諦めて、とっとと立川も彼女作った方が良いぞ」

「別に彼女なんて必要ねぇよ」

「えぇ〜!彼女がいると幸せだぞ〜?」


 そう言って、西森は満面の笑みで加賀見との遊園地デートの写真を見せつけてくる。


「はいはい、分かったから……お前の幸せ自慢は結構だよ」

「ちぇ〜!もっといっぱい見せたかったのに!」


 そして、俺はめぐみの席の方を見る。渦中のめぐみは友人達と食堂で昼ご飯を食べているのか、その姿は無かった。

 俺とめぐみは、婚姻関係にあるとはいえ、それは俺がめぐみを守るためのものだ。

 決してその間に恋愛感情などがあるわけがない。ただの幼馴染なのだから。



 *****



 キーンコーンカーンコーンーーー


 チャイムが鳴り、六時間目の授業も終わったので俺は掃除当番をすぐに終わらせて、急いで帰る支度を進める。

 今日はめぐみと一緒にスーパーで調味料や、食材を買う約束をしているので、俺は急いで集合場所のスーパーへと向かった。


 スーパーの前へと着くと、そこには同じく学校終わりのめぐみが立っていた。


「ごめんごめん、掃除当番があって……待った?」

 すると、めぐみは顔をパッと明るくして、にこやかに笑う。


「ううん〜!今来たところだよ〜!」

「そっか、それじゃあ行こっか」

「ふふっ……こういうのなんだかデートみたいだねぇ〜」

「別にスーパーで買い物するだけだぞ」

「それでも颯太と一緒にいれるなら楽しいもん!」

「はいはい」


 そうして俺たちは一緒に近所のスーパーへと入る。

 ここのスーパーも学校から近いのだが、駅までの通り道コンビニがあるのに、わざわざスーパーに来る人は少ないだろう。

 俺は安心して、めぐみと一緒に買い物が出来る。


 可愛らしい猫が描かれたメモ用紙には、めぐみの字で今日買うべきものが沢山書かれており、めぐみはその通りに買い物を進める。

 今日はめぐみがカレーを作ってくれる予定なので、人参にじゃがいも、玉ねぎを買い物カゴに入れる。

 俺はからっきし料理が出来ないので、料理に関してはめぐみに任せることになるだろう。


「ねぇ颯太〜カレーは何辛が良い?」

「俺は普段中辛だけど……めぐみは甘口じゃないと食べれないんじゃないのか?」

「な……颯太ったらいつの頃の話してるの!もう中辛ぐらい食べれるもん!子供扱いしないでよね!」


 めぐみはそう言って、俺のことをジト目で見つめてくる。


「ごめんごめんって!そういうつもりは無かったって!」

「もう!罰として普段学校で構ってもらえない分、家でいっぱい構ってもらうんだからね!」

「分かった分かった……」

「約束だからね!ふふっ……楽しみだなぁ〜」


 すると、めぐみは機嫌を直して、笑顔で買い物を続ける。

 その美少女のコロコロ変わる表情を見ていると、めぐみの相変わらずの可愛さが良く分かる。

 この可愛さなら学校一の美少女と称されるのも納得だ。


「えぇ〜っと……塩と醤油はこれで……味噌も買ったし……あとは牛乳も買わないと……!」

「じゃあ、俺が牛乳取ってくるよ」

「お、颯太〜!助かるよ〜ありがとね!」


 そうしてめぐみは買い物を済ませて、レジ袋に買ったものを詰める。

 ただ、塩や醤油、味噌などの調味料に加えて牛乳にカレーの材料を買っているので、大きいおっぱいとは対照的に腕が細いめぐみにはこれを家まで運ぶのは重労働だろう。

 俺は子供の頃から運動が苦手で、いつもめぐみに負けてばっかりだったが、さすがに男としてここで何もしないわけにはいかない。


 俺はめぐみが荷物を詰め終わったところで、レジ袋の持ち手を持って、ひょいっと持ち上げる。

 すると、めぐみは予想外の出来事に驚いて、目を丸くしている。


「えっ!私が運ぼうと思ってたのに!颯太には重いんじゃない?大丈夫……?」

「あのなぁ……いくら俺の運動神経が悪いからってこのぐらい余裕だよ。昨日だって敷布団運んだだろ」

「それでも……これすっごい重いよ?大丈夫?」

「これぐらい男として任せてくれ」

「そっか〜!じゃあお言葉に甘えちゃおうかな!男らしくてかっこいいぞ!」

「恥ずかしいからやめろよ……」




 そして、俺たちは歩幅を合わせて自分達の家へと帰る。

 歩きながら俺の腕の筋肉をぷにぷにと触られたのが、何だかとてもくすぐったかった。







ーーーーーーーー

〜あとがき〜

せっかくなのでカクヨムコンに出てみることにしました!(存在を昨日知った)

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10万文字頑張るぞ〜!!

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