頭の中の設計図#6「剣士プラムちゃんと旅する勇者がきらう町」
※原文から再編集しています。
この二作品、内容の繋がりもキャラの共有などもないですが、題材が似ているので、一つの記事としてまとめてしまいました。
どちらも扱っているテーマとしては『レベルアップ』。
レベルアップによってどんな効果、影響があるのか――
そこを掘っていってなにか書けないかな、というのがはじまりです。
異世界ものを見ていると度々でてくるレベル表記。
なんだかもう、それが当たり前の要素になっていますね。
スキル、魔法なども、レベルアップで習得するシステムはゲームと同じ。
主人公の成長具合、敵キャラの強さの基準として、レベルの数値はとても分かりやすい目印になります。
でも、レベルを設定して、影響がそれだけだと面白くないなあ……と、自分なりのアレンジを加えています。
(当然、プロアマ問わず、探せば同じようなアレンジもあると思います。書いた当時、作者は勉強不足で知らなかった、と思っていただければ)
『剣士プラムちゃんの世迷いゴト』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054919079675
『旅する勇者がきらう町』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922119782
の二作品は、どちらもハイファンタジーになります。
(異世界への転生者も召喚者もおらず、全ての登場人物がその世界で生まれ、育っています)
レベルシステムも、その世界独自の法則に従って動いている、わけですね。
では各作品について。
※ネタバレ全開でいきます。
『剣士プラムちゃんの世迷いゴト』
レベルの数値によって、力、速度、魔法、体力だけでなく、人の信頼、信用、発言力にも影響を与える、という狙いがありました。
つまり、胡散臭い話でも、レベル90なら信用されますし、たとえ根拠がある提案でも、レベル1なら相手にされず門前払い。
レベルによって人からの扱いが変わってしまうわけです。
作中でも、ヒロイン・プラムと、主人公・カムクの関係性がこれまでとは一変していきます。
どんどん強くなっていってしまうプラムは、もうカムクの助けを必要としない……。
さらに言えば、戦場ではカムクの方が重荷になる、とまで。
そんな中でも、好きな子を守るカムクの、諦めない戦いがメインとなります。
他にも。
モンスター(獣の民とも呼ばれています)との関係性も掘っています。
レベルアップのために一つの種族を狩り続けるプレイヤー(作中では上位ライセンス)。
自我を持つモンスターからすれば、恐ろしい人間に見えるのでは?
カムクとプラムは、彼らモンスターとの共生時代を過ごしていますし、モンスターを、レベルアップのための獲物、とは見れないわけで。
しかし、その感覚がレベル上昇によって消えていく……。
レベルアップシステムの恐ろしさを含ませてみました。
力を得れば得るほど、常識が崩壊していく。
その力を悪用する知恵もつけてしまうわけですね。
序盤でプラムとカムクの幼馴染二人は、二百年後に飛ばされます。
これ、簡単に言えば異世界召喚や転生と同じ効果を期待しました。
ハイファンタジーだと、読者に共感してくれるキャラがいないんですよね。
この世界にきたのが初めてで、見えるもの全てに驚いて、調べてみる――
……というのが、その世界に慣れ親しんだキャラだと難しいためです。
なので、一気に時間を飛ばして、この世界の住人でありながら、知っている自分の世界とは違う……。
二百年で変わってしまった常識、システムなどをキャラと一緒に読者にも分かりやすく説明できるかな、と思っての構成になりました。
『守りたい好きな女の子の方が強くなってしまった状況で、それでも自分の中のお姫様を守りたい少年の、弱いなりの足掻き方』
という物語でした。
他作品の『武装花嫁』もそうですが、女性の方が強い、というのが作者の根底にあるのかもしれません。
『旅する勇者がきらう町』
コンセプトがそのままタイトルになりました。
これ、だいぶ前に書いたもので、読み返してみると、実験的と言うか、攻めていると言うか……そんな印象を抱きました。
男口調のヒロイン・ティカ(しかも腕っぷしも普通に強い。そして巨乳)。
クールな男装少女(当然のように胸はぺったんこ)。
少女にしか見えない、魔王の少年……、などなど。
そしてレベル1の勇者である主人公・オットイ(作中最弱でしょう)。
彼を好き過ぎて、独占欲が強いもう一人のヒロイン(?)である少女・プリムム(34話はノリノリで書いてます)。
目的としては、主人公・オットイの成長、トラウマの克服であり――魔王が登場しますが、討伐ではありません。
魔王を倒せば丸く収まる、なんて、そう簡単な環境ではない世界になっています。
そして。
この作品でのレベルが与える影響は単純な強さのみです。
腕力、速力、魔法、体力……。
レベルアップの仕方が独特ですが、だからこそ、楽な方へいってしまうのが人の心なのでしょう。
ヒロイン・ティカの料理。
これがゲームで言う、裏技の要素として存在しています。
楽にレベルを上げることができるチート……、ティカの重要性が高まると同時、起きるのが奪い合い。
周囲のレベルが上がることで困る、勇者勢力、魔王勢力たちからの嫌がらせ。
オットイが見つけてしまったティカの特技のせいで、彼女の生活が危険に晒されてしまいます。
オットイのせいなのだから、じゃあオットイがなんとかしなければならない。
そのためには、オットイは過去のトラウマを克服しないとならないわけで……。
つまり、その時点でオットイの気持ちは、選択肢のどちらに寄っているかは、もう明白ですよね?
…了
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