鬱な魔法少女の世界にギャグ漫画の住人がきたら?

@isalai

美味しいパスタ作ったお前

手足は温度が無くなり、内臓全部が鉛になったかの様に重たい。

どこが寄りかかる所は無いかと探そうとしたが、ぼやけた視界に映ったのはビルも人もいなくなった更地だった。


「魔法少女といえども所詮子供ですね。」


私を含め三人の魔法少女を意図も簡単に倒し嘲笑うのは怪人の幹部。

カソックを見に纏い、青髪を揺らし柔和に笑う好青年な神父に見えるが私達の攻撃を何倍にも返し痛めつける歴とした人外だ。


「さて、苗床候補を探していたのですが…そこの君にしましょう」


倒れている二人の同僚に目を向けず、私へと白羽の矢が立つ。

あぁ…いやだ


「その白い魔法少女の衣装、まるで花嫁みたいでピッタリです」


母に素敵だと褒められ、誇りに思っていた装束が


「金髪に青い瞳。容姿も悪くない」


いじめられて嫌いだったけど二人にカワイイと褒められて自慢に思っていた容姿が


なのに今は血と泥に汚れて挙句の果てに犯される?


「心配はいりませんよ。傷つかないよう丁寧にします。他の奴らは知りませんが」


何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ二人じゃ無くて何で私?いやちがう二人は大切でいやだいやだいやだいやだいやだいやだ


「まぁ落ち着けよ」

「え…?」


ふと第三者の声が聞こえ耐えず呆ける。


「どしたん?話聞こ…いやロクなアドバイス出来ないから相談所に連絡しよう」


肩を叩かれふと隣を振り返ると、そこにいたのは私と同じ年くらいの男の子。

灰色の髪に琥珀色の目。黒いパーカーの上から羽織られた学ラン。

周りは怪人の攻撃のせいで人も建物も無事ではないはずだ。

なのに服には汚れが無く、まるで急に現れたかのよう。


「逃げて…はやく」

「それか俺の知り合いに相談する?ちょうど俺の彼女の彼女が聞き上手でさ!…ちょっと待って、俺の?彼女の?彼女?俺浮気されてる?ストップ鬱になった。先に俺が相談所に…あっもしもし。今お付き合いして」

「失礼。少しよろしいですか?」

「ストップって言ってんじゃん!あっ切れた」


空気に耐え切れなかった怪人が声を掛ける。


「いきなりで申し訳ございません。私はそこの彼女と早くここを去りたいので声を掛けてしまいました」


忘れていたがここに居るのは動けない三人の魔法少女、一般人、そして強敵。彼を死なせてしまう絶望感と自分のこの後に来る恐怖感が襲う。


「お気持ちは察します。辛かったのでしょう」

「分かるの?彼女が両刀かつ浮気性だったやつの気持ちが」

「えっと…」

「分かるの?」


嘘偽りは許さないと言わんばかりの眼光に冷や汗を流したじろぐ神父。笑みは消え去り、目を固く閉じながら口を啄む姿は怪人の幹部とは思えない。


「…………………すみません」


ポロリと出た苦し紛れの謝罪。


「分からな「コロス」がっ!」


空気を割く音が鳴り響いた瞬間神父の顔面にめり込む様に彼のパンチが入る。

彼が立っていた場所を見るとクレーターが出来ていた。


「出来もしない癖に言ってくれますねぇ!」

「⁉︎逃げて!」


鼻血を垂れ流しながら笑う神父。奴の真骨頂はこれからだ。


「"疾走する我が亀裂バースオブラース"」


突如神父の背後から飛び出た竜を模した青く白い炎。その炎が神父の全身を覆い、やがて右手に収束し鋭い鉤爪へと変化する。

再び笑みを浮かべる顔には有ったはずの怪我が少しも無い。

そうコレが奴のチート。自分のダメージを無かった事して相手に倍にして返す魔法。


「お手本をお見せしましょう」


神父の鉤爪が彼の胸を突き刺し心臓を雑草の如く抜き取る。


「ごめん…なさい」


止まらなかったという気持ちから出た謝罪では無く、諦めから出た無意味な言葉。

どうにもならない。


「で?」

「「⁉︎」」


悔しいことに奴と反応被った。

驚いた事に彼は無表情かつ汗ひとつかいていない。


「"疾走する我が亀裂"」

「「⁉︎⁉︎」」


そして私達の驚愕は再び更新された。

突如彼の背後から飛び出た青く白い炎。神父と違う所を述べると竜を模しておらずポロシャツを着たビール腹の男性を模している。

その炎が彼の全身を覆い、やがて右手に収束し鍋掴みへと変化する。



「さて、お手本返しと行こうか」

「違う違う違う違う違う違う!ガッ⁉︎」


慌てる神父を他所に鍋掴みの手が奴の胸を突き刺す。

違う所を述べると抜き取ったのは心臓では無く何故かパスタだった。


「材料が揃ったな。これでミートソースが出来る」

「出来ませんよ?いや違う、なぜパスタが体から…」


彼は神父の持っていた心臓を奪い皿に盛りつけたパスタの上に乗せ私の前に置いた。


「彼女が美味しいといったら俺の達勝ち。不味いと言ったら神父さんの勝ち。それで良いな」

「いや良くな「それで良いな」……わかりました」


いや了承しないで。誰が食べると思ってんの?


「さてお上がりよ」


本気?

いや待って美味いと言えば私達の勝ちだ。そうと決まれば早い。

フォークを持ちパスタを口へと運ぶ。


「「……。」」


何も掛ってない所を食べたなと言う視線を交わし。味を確かめるがすごく不味い。


「どうだ?美味いか?」

「…やっぱり不味いじゃないですか」


美味いと言わなきゃ。でもこれは…


「落ち着け。鈴木で例えるとどれくらいの好みの味だ?」

「は?」


どう言う意味だろうか。いや、そうだ比喩で誤魔化せばいけるのか。

急いでパスタを飲み込み結果発表の準備を整える。


「えっと。」

「「えっと?」」

「鈴木で例えると」

「「鈴木で例えると?」」


そう。鈴木で例えると






達◯た◯ひさ

「"このみ"じゃねぇのかよ!

「ふぐっ⁉︎」


彼は青筋を立てたながら神父を殴りつけた。

腹部に入ったダメージが著しかったのか神父は塵へと返した。


「俺達の勝ちだ相棒」


輝く笑顔でサムズアップする彼。そんな彼に疑問が沸いた。怪人を一撃で倒す彼は一体誰なんだろうか。

あと私味見する必要あった?

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