第15話 囚われる
月光庭園。浮遊都市最上部にある、硝子の天蓋を持つ庭。住民の憩いの場となる予定であり、植物園ともなる予定でもあった。完成すれば日本で最も高度の場所となり、綺麗な空気と月光に浴する場所になるはずだったその場所は、今では叶わなかった夢の存在を誇示している。
天蓋は土や瓦礫に覆われて光を取り込むことはできず、所々に設けられた照明も断線しているのだろう、光を灯すことはない。植物は柵にからまり、あるいは歩道に体を伸ばし、人間の愚かさをあざ笑うかのように、人工物を覆い始めていた。
榛名諒の姿を求めて、円形の庭園の中央まで足を進める。
不思議と周囲はほんのりと明るかった。
唐突に。芙蓉がぱっと背後を振り返った。
「どうしたの?」
「何か嫌な感じがします。まるで誰かに見られてるような」
周囲に灯りを向けていたが、何も見つからず、彼女は視線を前に戻した。あ、と声をあげる。足下を照らしてしゃがみ込む。
「足跡です」
一緒にのぞき込んでみる。確かに、埃の積もった地面に、うっすらと楕円の跡が付いている。
「詳しくは分かりませんけど、二、三人以上……複数人はいますね」
「よく分かるね」
「……えと」
小首を傾げて困ったように瞬きする。
「仕事の必要上、少しかじったんです。……用心して行きましょう」
そう言ったのもつかの間だった。
視界が開ける。植物園の中心、丁度天蓋の真下。天を仰ぐように植えられた樹の根元を灯りが照らした時、黒い物体がぼんやりと浮かび上がった。
突然、彼女は走り出した。何かを予感しているように、足が大きく、空中を泳ぐように。
芙蓉にとって、その短い距離はひどく長く感じられた。
自分が死ぬわけでもないのに、走馬燈のように、思い出が頭の中をめまぐるしく流れていく。
*
音がした。
始めは耳障りに感じたそれが激しい咳だと気づき、横を振り返った。
分厚い本が頁のめくれるばらばらという音を立てながら、床に乱暴に着地する。本を持っていたはずの手が口を押さえている。
「大丈夫」
ひとしきり咳き込んだ後で、長椅子に深くもたれる。汗をかいた硝子瓶の水を喉に流し込んでから、彼は笑った。
暖かな昼下がり、斜陽に照らされた我が家の庭。首都〈天満月〉の天蓋は今日は外気に開放され、優しく涼しい風が吹いている。そんな日にとても似つかわしい笑顔なのに、痛々しくて。胸が痛くなる。
「そんな心配そうな顔するなよ」
「してない」
私は池の水しぶきを散らして、陸地に着地すると、水を切った手で本を拾い上げた。戯れに開いて目を落とすけれど、目は文字を上滑りするだけだった。専門用語の羅列は頭に入ってこないが、物理学の本のようだ。差し出された手に乗せて、
「休日まで仕事なんて。体壊すわよ」
「文字通り壊れたら直せばいいよ」
諒は再び本を開き、続きを読み始める。
私も表情を隠すため、背を向けて再び池の中に舞い戻った。
暖かい初夏の日の午後、たすきで単と袴を引き上げて、膝で水に分け入る。
「笑ってる場合じゃないってば。木工寮の仕事ばっかりで……今日だってたまの休みなのに」
「傀儡は整備の日以外は原則無休だよ。それに父さんの仰ることだから」
父さんとは、諒の作者で帝お抱えの傀儡師だ。宮中では、左右大臣や秘書官の蔵人頭よりも帝に近しい位置にいると言われている。
「家に来たのも、同じ理由だった。父さんの仰ったことだ、って」
実家の家庭教師の一人として、三年間だけの同居生活。ただその三年間は私にとって多感な時期の三年でもあった。宮中の大人の見習いに童殿上して、成人式を迎えて仕事を得てからの、今までで最も生活の変化に富んだ時期を含んでいたからだ。
「父さんの考えることは僕には分からない。策略の一環であったとしても、那賀川家にいた日々は僕は感謝してるよ。君たちから沢山のことを教えてもらった」
私はそっぽを向く。緩んだ顔を見られたくなかったから。
「私も、みっちり教え込まれたから、検非違使になれたし、おかげで諒のやってるっていう浮遊計画の査察の任も拝命されたわ」
「そのことだけど、那賀川家は中立派だ。君だけが賛成するのは良くない」
「でも、私は選ばれたのよ。……そんな顔しないで。分かってる、選ばれた理由くらい。私が諒の教え子だからよ。傀儡に近い検非違使だから声がかかったのよ」
無論家に害をなすつもりはないし、失敗しても自分だけで責任をとれる程度の仕事だった。でも、重要な仕事だ。査察の人間が実験の否定を強硬に主張すれば時期が延期される可能性がある程度には。だから一刻も早く実験が稼働されなければならなかった。
傀儡の、諒の、体のために。諒は、諒なら、分かってくれると思った。
「だから、会うのはもう最後だ」
なのに、期待は一瞬で打ち壊されてしまう。不機嫌になった私は足で水を蹴り上げた。
「どうして?」
諒は、立ち上がって水際に立った。顔は、あくまで平静だった。
「傀儡と近しくあってはいけない。傀儡に共感を抱いてはいけない」
あまりに言い方が優しかったので、思わず声を荒げてしまう。
「何でそんな馬鹿なこと!」
「馬鹿なことじゃない。傀儡は人間の世界に蔓延りすぎた。既に多くの人間の反感を買っている。君がこれからも政治家として生きていくつもりなら──もう僕が家庭教師をしてしまったけど──潔白の経歴に染みひとつ、付けてはいけない」
「何を……言って」
「傀儡は、人間が生み出した道具の一つに過ぎないよ」
頭がかっと熱くなって、手が、思わず諒の腕を掴んでいた。ちょっと力を入れると、諒は水中に仰向けに倒れ込んだ。目が瞬きもせずに見つめてくる。
「私は毒されてなんかない……確かに傀儡は人間の作った道具の、一つかも知れない……じゃあその感情は誰のものなの? その口調は誰のものなの? 道具でも、たった一つの道具よ。榛名諒という名前の!」
諒はごぼごぼと水の音に混じって、平然と声を出す。
「僕に設定された年齢は、もう君と同じだ。すぐに追い越してしまう。兄のように思う君の気持ちは、齟齬を生じだす」
私は諒の手首を掴む。痛いくらいの力を込めているはずなのに、表情一つ歪めない。
「僕は作り手である父さんに逆らえない。ないと信じているが、いつか君を殺す兵器になるかもしれない。人であることを望まない。これは傀儡に課せられた──枷られた、プログラム」
「だとしても、私は」
「傀儡は必要がなくなったとき、淘汰されるようにできている。僕は運命に逆らわない。今の仕事の内容は、今は言えない。だけど僕は、僕を受け入れてくれた君と君の家族のために、できることをやるつもりだ。だから──」
「もういい、帰るわ」
私は言い放つと、手首を離して、濡れた髪と衣とを翻した。
「こんなこと言い合いに来た訳じゃないもの」
そして私は大切な言葉を聞き忘れたまま、言い忘れたまま、今日を過ごしてしまうのだ。
別れまで三日が迫った日曜の出来事だった。
*
芙蓉は見た。見たくはなかったが、見る以外の選択肢を選べるはずもなかった。
駆け寄って、手を触れた拍子に床にごろんと、転がったものがあった。それが手の形をしていることに気づくのに、さほど時間は掛からなかった。
かつて榛名諒と呼ばれていた傀儡の、残骸だった。久しぶりに見る家族は上半身と下半身を分断されて、横たわっていた。
関節という間接が断たれ、捻じ曲がり、潰れている。顔だけはきれいだ。
思わず握り締めた腕の肘から先がなく、紅い糸が数本引いて先端は千切れていた。
烏帽子は失われ、いつも几帳面に着ていた狩衣が、その下の衣も破れ、一枚一枚引き出され、かき乱れている。
腕は楢材、髪は黒絹、爪は桜貝。他に見るべき特徴が十数か所あるが、紛れもなく一体型。
──違う、そんなモノは知らない。
肌の色も手のかたちも、彼女自身がよく知っている諒のものだ。紛れもなく諒なのだ。
声は出ない。涙も出ない。まるで金魚だ。
代わりに手が首を抱く。白い袖を、その時汚したものがあった。体中を巡る砂が目からこぼれていた。
再び芙蓉が伸ばした指先が衣の縫い取りに引っかかり、糸が切れる。
引かれた糸がするすると衣から抜け、指に絡まった。糸は少し力を込めると、ぷちぷちと千切れていく。
老いることを知らない傀儡も、ここまで壊れてしまえば修理は不可能だと誰が見ても分かる。たとえ技術があっても、一体型を作るための部品は、そうそう調達できるものではない。
ようやく芙蓉の唇から漏れたのは、息だけだった。
芙蓉が自分を取り戻すのに、大して時間は掛からなかった。
「……大丈夫です」
振り向いて、琥珀の顔を見上げる。
「覚悟はできてました。傀儡たちの死体に出会ったときに、遺書を見たときに。だから、大丈夫です」
無理矢理笑っているのが、傍目にもよく分かる。
何と言っていいものか、逡巡したが、耳に足音が届く。とっさに右手を振り向く。
「何の御用でしょうか」
足音と空気の流れに静けさが破られ、琥珀は頁をめくる手を止めた。十進分類法十五版の一○六六頁は“彫像”の項目を示している。問いかけられた相手は遠目にそのことを確認して、苦笑を漏らした。
「それはこちらの台詞ですよ」
朝に地下で出会った書司の男たちだった。
「あなたたちがやったんですか?」
「やった、とは? 壊したというなら違いますよ」
「榛名諒の衣を、探ったんでしょう」
狩衣の乱れは、上空から落ちてから、誰かが何かを探したに違いなかった。
「それから、壊れたという言い方も止めてください」
「道具が壊れたのを壊れたと表現して何が悪いんですか?」
あからさまな挑発。
「そちらこそ、何のためにこんな肢体漁りなんて真似を? お金ですか政治ですか。それとも仕事だからですか?」
「そう敵意のこもった受け答えをしないでください。こちらはやり合いたくないんですよ。書司同士、それも数字を冠する書司の貴方とはね。そう、調べましたよ、あなたのことも」
黒い本をぱらぱらとめくる。見出しには、三桁から五桁の数字が並んでいた。同じ数字に連番のもの。点で区切られたもの、そうでないもの。ただ項目、頁が進むごとに数字は大きくなっていった。数字の横には関連性が殆どないような単語が並べられている。
「数桁で構成される最初の、一番左の数字。これは、“大分類”を示す。総記と図書館のゼロ。哲学の一。歴史の二。社会の三。自然の四。技術の五。産業の六。芸術の七。言語の八。そして文学の九」
「十進分類ですからね。当然九までの数字しかありませんよ」
「そう、十の分野を〈分類〉するに最も有能だと、数多の書司に認められる“数字を冠する”書司はたったの十人。この素晴らしい席に列せられた書司が何故自ら書司のよりどころである地位を失おうとするんですか? ご自身、よく分かっておられるでしょう。国や会社、権力の後ろ盾を失った書司など、書司寮に管理されるだけの危険なものだって。傀儡より質はいいかもしれないが、使い勝手の悪い道具ですよ、我々は」
「危険──確かに。分類は暴力ですよ。だから書司は暴力を常に意識して戒めるんです、遙か昔の愚王は自分に従わない国や異なる思想の本を焚書したという話を引き合いに出してね。とはいえ後ろ盾という名の権力も暴力です。けれど誰も捨てない。それは敵前でわざわざ刀を捨てるような、不自然な理想主義を万民が良しとしないからでしょう。それで、結局何のご用なんですか。やはり、彼女をどこかに連れて行く気ですか」
男はもてあそんでいた本を閉じ、芙蓉を一瞥する。
「ここに乗り込んでくるのは想定内でしたが、思ったより早かったですね。会った以上は連れて行きたいのですが、仮にも亭長に説明しないのはフェアではありません。どうせ彼女は何も話していないでしょう? だからまず、ここでは芙蓉と名乗る少女について話をしましょう」
琥珀の眉がぴくりと上がる。図書寮及びLC社が彼女をどこまで調査したかは分からないが、少なくとも強盗事件の容疑者並みには調べ上げているらしい。彼女が何者で、何を目的としてきたのか。
「そこの傀儡、榛名諒は数年前から、京の宮内省木工寮勤務の役人をしていました。所謂機械に強い人間で、浮遊システムの基礎設計と実験に携わった。非常に有能で、性格も真面目だったらしい。当然です、希代の傀儡師の手になる一体型の傀儡だったんですから」
男の唇は彼の僅かな動揺とは無関係に、淡々と言葉を続けた。
「その傀儡が浮遊実験に関わり、同族を殺したというのだから、皮肉なものですね」
琥珀は無言のまま首を振る。
「それが彼女と何の関係があるって言うんですか」
「そこですよ。聞きたいんですか? どうしてブランドものの一体型が彼女の知り合いなのか」
意地悪な問いだと思った。考えが顔に出たのだろう、男は、
「予想は付いてるんでしょう? 彼女は名家の姫君で、榛名諒は、家庭教師の一人だった。作者の傀儡師は天皇のお気に入り。どんな政治的意図があってそうされたのかまではLC社は存じてないんですがね。でも彼女は結果、ただの姫君ではなくなった。男として武官の職を得て、刀を天皇から賜っている。未熟とはいえ政治家の一人」
肩を竦める。
「彼女の家は浮遊実験では中立派だったにも関わらず、彼女自身は実験の賛成派だった。傀儡の影響は間違いなくある。……退屈ですか、こんな話」
「続けてください」
「結論だけ言いましょう。彼女は、榛名諒の浮遊都市の設計図を所持している可能性がある」
浮遊させるはずの設計図が存在する。それは浮遊都市を再び浮かせることが出来る可能性があり───浮くと言うことは、実家の発掘だって行える。だが。
「複写がない、なんてことはないでしょう」
「大内裏は、彼独自の資料があったのではないかと見ています。資料を基に事故原因を最究明、再び浮遊させることによって、ここにあった資料や貴重な部品を取り戻したいと必死なんです」
「必死ですか? 寡聞にして知りませんでしたね。資料はほぼ回収したと聞いていましたが。それに資料の回収が目的なら、何故事実上放置なんかしていたんですか? 全く信用できませんね。一番ありそうな物語としては、もう二度とサルベージできないように破棄したがっている、でしょうね」
「ともかく彼女を引き渡してください。大内裏の正式な使いもいずれ来ます。そうなればあなたも役人の端くれとして逆らえない。〈壺菫〉から出て行かなければならなくなりますよ」
「そちらも信じているわけではないんでしょう、そんな話を」
言ってはみたものの、彼が芙蓉に託した本があるのは事実だった。
そしてそれによって、事故が故意であることを芙蓉が確信したのも。
「LC社も私も、大内裏からそういう風に聞いています。そして、疑うような事実をLC社は持っていない。第一、仕事つまりお金をいただく側なのでね」
脅迫なのか忠告なのか、区別が付き難い口調だった。区別を付け難い、心境だった。
「これは書司同士、本心からの忠告ですよ。いいですか、貴方が一等書司でも政治能力までは当然一流ってことにはならないんですよ」
琥珀の強く握り込んだ手の平に、爪が食い込む。分かっている、百も承知だ。
両親は学者として一流だと信じているが、研究に熱心な余り、政治にとって不都合な研究までして、職を奪われた。
自分は、命令違反にならないようにこっそりするべき両親の遺体の救出や実家の発掘作業を、堂々とやってしまい、左遷された。
説得もする余地がない図書寮の上の人間の顔は、両親を明らかに意識していた。加えて人間の被害がないと報道が発表までしている。両親が罪人同等の扱いを受けているのは明白だった。
「自分が大事なら、他人に同情するのは止めなさい」
「同情じゃありません。書司の本分です。彼女は言いました。止めるなら、生きてる意味がない、と。利用者の要求に応えるのが役目じゃないでしょうか」
「本を探しに来たわけでもないし利用者でも……」
最後まで言い終えることはできなかった。
「お引き取り下さい」
「ではあなたはどうです、姫君。午前中に言っていた、現実とやらを受け止められましたか」
男はうずくまったままの芙蓉を、芙蓉と名乗った姫君を見下ろした。
芙蓉は腕に諒を抱いたまま、立ち上がった。
「それから“君自身の人生と命にかけて、どうしてもやらなければならないこと”は?」
「はい。新しくできました。彼が何故、何の犠牲になったのか突き止めることです。だから、同行……お断りします」
この上なくはっきりした拒絶の言葉に目を吊り上げる。怒りはすぐに唇からの嘲りとして吐き出された。
「話しても全く無駄だなどとは思いませんでしたよ」
男が手を振った。彼の後ろにいた男達が、両側に放物線を描いて散り、二人を取り囲む。
正面の男を含めて、全員で五人。どうやって突破するか。
考える間もなく、男達の手が伸びてくる。琥珀に向かってではない、芙蓉に向かって。
咄嗟に振り払おうとした琥珀の腕を狩衣を、男は逆に投網のように絡め、
「危害を加えるつもりはありません。わたしたちの説得が無理だった場合は、依頼主に、会っていただくだけです」
「……な」
「姫君と一緒に来ていただきましょう」
小刀が首元に突きつけられていた。
男は手際よく両手首を後ろ手に縄で縛る──はっきりと、足手まといになったと自覚する。
「姫君。宜しいですね。抵抗するとこの書司の自由の保障はいたしかねます」
今朝と逆の構図だった。
芙蓉の両目は少しだけ見開かれ、まつげと瞼が震えていた。横に開いた唇が、言葉をはき出そうとして引き結ばれる。
闇の中で、刃の輝きは灯りを冷たく照り返していた。
「分かりました、会いましょう。ですが、即刻していただきたいことがあります」
「何でしょう」
「……彼は犯罪者などではありません。その刃を納め、縄を外しなさい、痴れ者!」
毅然とした態度で、彼女は言い放った。
男は一瞬鼻白んだが、部下に手を振って合図する。
「仰られるようにしろ。お二人を丁重にお連れしなさい」
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