窓の向こうの飛行機

硝崎ありね

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ホテルの客室で写真を撮った。そうしたら背景に窓越しの飛行機が映った。まるでジオラマのようだった。


写真は魂を抜くと昔の人々は恐れた。飛行機には魂などないはずなのに、なぜか生きてるみたいだった。まるで呪いだ、そう、私を縛りつく呪いだ。写真を見て恐怖を覚えた、なんてものない一枚の写真に。しかし、削除ボタンを押すことはできなかった。


この妙な写真は未だに携帯に残ってる。消さなかったのはおそらく、三年前のことを思い出したから。初めての海外旅行、飛行機雲を機内で眺めるのも当然初めてだった。その景色に見惚れていた、結局飛行機が到着することはなかったのに。


そんな私にも仲間はいる。同じくあの景色に魅了されたものたちだ。可笑しくもここにはホテルがあった、私たちが集う場所にしては最適だ。


「本当、運が良かったよね」

「ええ、じゃなきゃこうしてくつろぐこともできなかったでしょうね」

「それに――」

「あの飛行機がいるもの」

私たちは異口同音にそう話した。


運がいい、きっとそうだ。だって、誰も思ってなかった。こんな場所にホテルなんて、意味がわからない。


客室に入り、写真をパシャリと。写真に映る窓越しの飛行機を眺めながら日付を数える。もう三年前なのか、今でもあの飛行機は生きてる、生きて私たちを見ている。何度願ったことだろう、この写真があれの魂を抜き取ってくれることを。


私たちの方が囚われてる側だと認めたくなくて。


午後42:19・□/△/XXXX 場所: Bermudatriangle

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窓の向こうの飛行機 硝崎ありね @syouzaki_arine

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