―17― ユメカ、フェニックスを調合する!
フェニックスの素材を手に入れたので、早速素材調合するぞー!
「まずはフェニックスの生き血を飲みまーす! フェニックスの血ってどんなポーションよりも強力だって聞いたことがあるので、一度飲んでみたかったんだよねー!」
【いやいや生き血をそのまま飲むのはまずいって】
【生き血は人間には毒だろ】
【フェニックスの生き血の効果はどんな怪我も再生できるほど強力だが、その分のリスクが高いので飲んではダメ】
【流石にやめておけ】
「へー、生き血って飲んじゃダメなんだー。リスナーのみんな教えくれてありがとー! ユメカのリスナーさんはかしこい人ばかりだな。ユメカときめいちゃうかも」
【照れる……///】
【照れるぜ】
【かわいい】
【よかった、話聞いてくれて】
【たまにはリスナーの言うことを聞く、ユメタン偉い!】
「では、いったたぎま~す!」
ダメって言われると逆にやりたくなることってあるよね。そんなわけでフェニックスから採れた生き血を瓶にいれてゴクリと飲む。
【は?】
【は?】
【は?】
【うーん、この】
なんかリスナーの反感買っちゃったみたいだけど、どうでもいいや。
「おいしすぎるぅううううううううううううッッ!!」
ふぁああああああああああ、こんなおいしい飲み物初めて飲んだぁあああああ!
【大丈夫なんか?】
【大丈夫?】
【痺れたりしない?】
「えへへっ、ユメカは大丈夫で――あっ、まって、なんかくる! きちゃう!? あっ、全身ビリビリくりゅぅううううううううううううううう!!」
ビクン!ビクン!
サイコーに気持ちいいけど、これはマジでマズいかも。でも、こんなときのために〈ビッグ・トレント〉があるんだよね!
ぷはぁああああああ、くぅうううううう! 幸せすぎぃいいいいいい!!
【いったいなにを見せられてるんだ……】
【実質、アヘ顔やろ】
【命よりもキメることを優先する女】
【ふぅ】
「ほれじゃー、今ひゃら、フェニッフゥスのひょざいでポーションつくるぅー!」
【なに言っているかわからない】
【呂律がまわってなくて草】
【誰か解説頼む】
「まじゅはー、フェニックスの羽をむしりゅー!」
バサッバサッ、と手で羽を鷲づかみにする。これらの羽は今回は使わないからね!
そして、フェニックスの肉を包丁でザックザック切っていく。
「今回、フェニックスの素材は全部ちゅかいましぇん! 一部はとっておこうと思いましゅ!」
フェニックスの素材は他の貴重な素材と兼ね合わせることで何倍もおいしいポーションができるのだ。けど、今は他に貴重な素材を持ちあせていないので、あとから手に入れたときのために一部とっておく。ユメカちゃん偉い!
それから大きな鍋とカセットコンロを用意して、水を入れて沸騰したら、フェニックスの肉を入れていく。
それから、スプーンで魔力を注ぎながらかき混ぜていく。
一時間煮込んだ後、冷やせばかんせーい!
「できたー! 〈フェニックス・ヴィージュル〉です!!」
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
〈フェニックス・ヴィージュル〉
格付け:SSS
効果①:火耐性を得る
効果②:不明(格付けSSSなため隠し効果を獲得しました)
△△△△△△△△△△△△△△△
【当たり前のようにSSSで草】
【ポーション作ることにすべてを持って行かれた女】
【ポーション作ることだけは完璧なんだよなー】
「では、いったたぎま~す!!」
ゴクリ、とできたばかりのポーションを一気に飲んだ。
カーッ、喉奥がいっきに熱くなる。
この刺激が溜まらんのじゃー。
「おいしすぎりゅぅううううううううううううううううッッ!!!!」
わたしは全力で叫んだ。
【幸せそうで草】
【ユメタンが幸せそうで僕もうれしい】
【おいしそうだからって、自分が飲んだら吐くんだろうなー】
【ポーション乱用だけど幸せならオーケーです】
「よしーっ、ポーション飲んだことだし、配信閉じるぞー!」
そう言って、わたしは今日の配信を終えるのだった。
◆
「あー、またやってしまった……」
起きたら自室のベッドの上にいた。
昨日の記憶はなんとなくは覚えている。
つい我慢できなくてポーションを飲んだのだ。それからお察しの通り。
あと、配信終わってからどうやって自宅まで戻ったのか疑問だが、まぁ、こうして体が無事ってことは何事もなかったんだと思いたい。
夢であってほしいなと思って、念のため昨日のアーカイブを見る。
『おいしすぎりゅぅううううううううううううううううッッ!!!!』
動画ではユメカがポーション飲みながら叫んでいた。
その表情があまりにも悲惨だ。目が上を向いていて、ヨダレを垂らしているのだ。これはかわいいの正反対の表情だ。
もう黒歴史確定だ。
「うわぁああああああああ! 死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい!!」
枕に顔を埋めながらとりあえず叫んだ。
この調子じゃあ、目標のリアンちゃんがどんどん遠ざかっていくよー。わたしはアイドル配信者になりたいのにー!!
ふぐぅ……泣きべそを書きながら、チャンネルの情報を見る。
すると、昨日よりも10万人も登録者が増えてた。どうやら昨日の配信がまた拡散されているみたいだった。
ついでにコメントも見る。
【ユメカの配信、めちゃくちゃおもしろくて笑いがとまらんwwwww】
【とんでもなく下品な配信者だなぁ】
【かわいい顔してポーションキメるとか最高かな】
【強いけどこうはなりたくないな】
【強さと引き換えに人間の尊厳を失った模様】
かわいいってコメントよりも笑えるとかおもしろいってコメントばかりだ。わたしはただのみんなからチヤホヤされたいだけなのに、これじゃあチヤホヤじゃなくて笑われているだけだ。
「わたしはいったいどうすればいいのぉおおおおおおお!!」
叫ぶと同時に、ピコンと通知がなった。
見ると、登録しているチャンネルの新しく投稿された動画だった。
「あっ、リアンちゃんの動画だー!!」
えへへっ、どんな動画なんだろー、たのしみだなー。
そっさくみよー、と再生ボタンをポチる。
その動画、他のプラチナムハーモニーとのメンバーとの歌って踊るライブ映像だった。
プラチナムハーモニーは探索者としてだけではなくアイドル売りもしていため、こういうライブ映像も動画に流す。
「――――――――――っっ!!」
その映像にわたしは一瞬で引き込まれた。
煌びやかな衣装にスポットライトが当たっている。かっこいい曲と共にキレキレのダンスを披露していたのだ。
「これだぁああああああ!!」
ライブが終わると同時にわたし叫んでいた。
わたしも踊って歌えば、アイドルだってみんなが認めてくれるはず!
でも、一人だと寂しいしなによりアイドルっぽくない。
よしっ、まずはユニットメンバーを集めよう!
わたしは次の目標を決めるのだった。
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