第19話 だいひょう

 その、みえない怪獣が出現したのは二十年以上前に大手に吸収合併された、映画製作会社の撮影スタジオだった。

 さほど広くはないが、屋内スタジオの周辺に、小規模も常設セットもあった。どれも長い間、手入れさておらず、時折、その滅びた外観をそのまま利用して、ホラー映画の撮影に使われる程度だった。特撮ヒーローの撮影にも時折使われていた。

 みえない怪獣はまずメインスタジオの入った建物を破壊した。それから周辺の施設を歩き壊していった。かつて映画作成に使われたものたちが、みえない怪獣に踏まれ、蹴散られ、粉々になってく。

 破壊された撮影スタジオを所有会社は、このショウの後、公式にショウのドキュメンタリー映画を作成していると発表した。

 この国を代表する、現代アートの旗手として、彼を取り扱った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る