第17話龍王国のサツマイモ 竜馬の芋

 ニア・ドラゴニアは肉塊からドラゴンの姿に、かわいい子龍に変身した。 

 

 その日は解散して、俺も呪いの反動で受けた傷を治癒してもらいながら、ゆっくりすごした。 

 

 もう少ししたらニアの快気パーティーを開くので、城で適当に過ごしていてほしいといわれている。 

 

 一晩親と過ごした後から、ニアが僕にくっついて離れない、食事の時から眠るときまでべったりで、トイレまでついて来ようとする。 

 

 両親もニアは使徒様が大好きなのね、と軽い感じだが、もっと親子で一緒にいた方がいいんじゃないかとおもうのだが。 

 

 色々みてまわっていると、サツマイモが沢山あるなぁと思いつつも、???捨てるのか?腐っているものを発見、量も多い。 

 

 どうしたことかと聞いてみると、竜馬の芋と呼ばれるこの芋は良く育つが、味が薄くぼそぼそして酷く喉が渇く食べ物で動物のエサとしても不遇で残される事が多く、腐らせて畑にまくのが一般的だと言われている。 

 

 普通に焼いて俺も食ってみる。 

 

 甘くない、ぶよぶよと芋感はありつつも味?味あるのかこれ?火はちゃんと通ってる、柔らかく若干気持ち悪い、ジャガイモに近いかといわれるとジャガイモの方が100倍マシって感じ、なんだこの食いもん。 

 

 ジッと見てると、焼き方が足りないみたいな説明文が出て来る。 

 

 龍族の住む、ここら辺に自然とある灼熱岩を使って調理を推奨と書かれていた。 

 

 灼熱岩なら山ほどあるよとのことなので、灼熱岩の中にサツマイモを突っ込んでいると、中ではじけたのかポンっと音を立てて弾けた。 

 

 引っ張り出して食ってみると、超ねっとり感の糖度抜群の芋の甘味!じゅわじゅわじゅるじゅるでる芋の蜜!完全にこれだけでデザートだよこれ! 

 

 「うめぇ!うんま!んぐんぐんぐ!!!」 

 

 「うまい?ニアも!!!」 

 

 「ほら、ニアも食え!美味いぞ!」 

 

 「はわぁ~!あきゅあきゅあきゅ!じゅわじゅわ!とろとろ!おいちい!」 

 

 「うまいなこれ!」 

 

 「次いでだから、魔道具に突っ込んで酒も作ってみよう!」 

 

 芋焼酎なんてあるから、きっと出来るはず、味が確認できない下戸なのが残念だけど。 

 

 芋そのものだけでもうまいけど、デザートの様に生クリームとスポンジあわせて、サツマイモモンブランなんて作ってみたけど、これがいい!! 

 

 「ふきゃ~!にあ!こんなにおいしいもの知らない!おいちい!あきゅゆゆ~ん!」 

 

 絞れば蜜もとれそうだし、すげぇ色々使えそうなんだけどなぁ。 

 

 とニアと満喫していると、丁度シルフィが通りかかった。 

 

 「貴方達何してるの?」 

 

 「ああ、暇だから色々みてまわってたらな、サツマイモを見つけたんだ。それがさ、この国では腐らせて肥料にしてるって売っても金にならないし不味いからっつーもんだからさ、試してみたら、これがめちゃウマでさ!!!芋の状態なやつだけでも美味いのに、調子にのってモンブランもつくちゃってさ、これみて!めっちゃ美味そうなケーキに見えない?パティシエの才能なんてない俺でも、これは会心の出来だよ。幻想的にキラキラしてバエルわ!んでもってこれならと思って、魔道具で酒も作ったんだけどさ、舐めてみたけど100年物の芋焼酎がブランデーみたく薫り高く、甘いんだよ!だからモンブランスポンジにしっとり湿らせて食えば、もう最強でさ」 

 

 「ニアお嬢様を助けるだけでさえ無理して、血だらけだったから、最大限利益を引き出そうと会議していた私をほうっておいて、貴方はお姫様とデザート祭りをしていたということでいいかしら?」 

 

 顔、怖い、笑顔、怖い。 

 

 「こっちはどうなるかわからないから、あれだけ心配したのに!熱だってでて、貴方何日うなされてたか!何回明日が山と聞いたかわかっていってんの!?」 

 

 「ちょちょちょちょちょちょ!怒るなって!落ち着け、ほれ、ケーキでも食え!めっちゃ美味いぞ」 

 

 「あのねぇ、この国では無益といわれる素材で作ったんでしょ!?いくら美味しくても・・・・・・・・・なぁにこぉれ!!!滅茶苦茶美味しい!一番上に乗せてるのこれお酒につけた芋を角切りにした奴かしら!?サクサク!下のクリーム??これ芋???ねっとりして、乳のクリームと合わさると夢見たい!しっとりお酒をすったほろほろのスポンジ!アルコールは飛ばしえるけど、ほのかに味がするわ!すっごい!なにこれ!すっごい美味しい!!!」 

 

 「だろ!びっくりモンブランだろ!これを龍族は捨てるんだから、世も末だぜ。ほれ酒もちょろっと飲んでみ」 

 

 「これが、あの芋の酒、んんんん!これは甘いのにべたつかず!優しい甘さにカァっとなる熱さ!飲みやすくて美味しい!これ!美味しすぎて子供でも飲めちゃわない?」 

 

 「ああ、俺でも飲める酒だからな、超下戸の俺がスルスル飲めちまう、気づかづに呑みすぎて足に来る奴だな」 

 

 「貴方なんてもん作ってんのよ!!!しかも竜馬の芋はこの国でしか育たないのに!?く、くやしい!うちの国にもほしいわこれ!」 

 

 「なぁ、もったいねぇよな。捨てちゃうなんて」 

 

 「はぁ、会議のネタが増えたわ」 

 

 「????」 

 

 「あのねぇ!まともの甘味なんかなかった国に、こんな美味しいデザートに酒開発しちゃって、しかも大本のサツマイモ?原料を握ってるのは龍王国なのよ!交渉してうちにも輸出してもらわなければいけないじゃない!」 

 

 「怒られる事ではなくない?」 

 

 「まぁいいわ、レシピはこっちが握ってるんだもの、おーっほっほっほいくら搾り取れるかしら」 

 

 あんまりあこぎな事はしない方がいいかとおもうが、ニアのお祝いの時に酒やデザート俺もだせたらいいなぁ

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