第15話龍族

 龍族 人間に近い龍の一族、この世には神に近い高位龍種の存在、人に近くほとんど人間の様にくらしている龍族、知性もほとんどなく欲望に忠実で邪龍などに認定される、低位龍の種類に分けられ、主に人間や他の魔物に狩られ、財宝やその高次元な魔力、死体を活用されるのは低位龍である。 

 

 今でこそ、この三種に分けられ分類されるが、昔は全ての龍は人間種にとって脅威であり、そしてその素材は小さな鱗から骨、肉、内臓全てが人間にとって有益で活用されてきた。 

 

 高位龍は人間の到達できない場所に陣を張り、龍族は秘境へと隠れた。 

 

 龍族は肉体の素材以外にも、自然界から取り入れた魔力を自分達で排出する事で育つ鉱石や薬草などが非常に高価で有益であり、その魔力の影響は作物や熟成などに非常に高価的で、龍族国有の鉱石、霊薬、酒、作物、飼育した魔物にいたるまで人間界では非常に高価に取引される。 

 

 そんな超貴重な種族の龍族なのだが、過去人間や人間種に下位龍や低位龍と間違われ狩られる事も多く、また奴隷としても珍しく非常に人気で、子龍から大人の龍まで欲望のままに隠れ里が蹂躙される事も少なくなかった。 

 

 屈強な龍族だからこそ、勝利し奴隷に堕とした時のドラゴン殺しやドラゴン狩りの名声は人々の中で大きく、次第に隠れ里はどんどん過酷な環境に、国は難攻不落にと変わっていき、最終的には自分達以外の種族を拒む事で世界からその姿を消した。 

 

 そんな龍王国ドラゴニアからグランディルに食の使徒を派遣してほしいと懇願する書状が届いた。 

 

 その理由はいつきの治癒の食事が目的である。 

 

 龍王 コルキス・ドラゴニア 次期国王 アルビオン・ドラゴニア 王妃 ティアマト・ドラゴニア そしてその末娘ニア・ドラゴニア 

 

 ニア・ドラゴニアは瘴気に包まれて生まれて来た。 

 

 悪臭と歪んだ体、猛毒と瘴気に酸などとても近づけない状態の娘に困惑した両親達、それでも自分達の娘だと、世話に食事に苦慮しながらも大切に育てるも、少しずつ瘴気と毒や他者を錯乱させるといった力に次第に誰も近づけなくなり、遠くから食事を差し出すも、その食事ですら一瞬で腐敗してしまう程、凶悪になっていった。 

 

 どこのだれの仕業かわからないが、ニアにかけられたものは呪いだとわかり、神聖ミストラルの聖女や教皇、神の眷属と名高いハイエルフの国アルフヘイブなどに助力を願うも、誰も龍族を助けようとはしなかった。 

 

 なぜか? 

 

 神に愛された信者の国ミストラル、神の子と名高いハイエルフ、神族と名高い龍族、彼らの間にもまた確執があったからである。 

 

 ミストラルはニアの呪いを天罰といい、ハイエルフは自らと同じく自分達を神族と謡っている龍族が気に入らなかったのだ。 

 

 それでも同じ神を崇める国、使者を送り様子をみたが、ニアのあまりの様子に自分達も天罰をうけるかもしれないと恐れた二国は龍族を突き放した。 

 

 ニア・ドラゴニアは呪われている。 

 

 食事をしなくても死なず、毒でも物理的に殺しても、死ぬ事がないのだから。 

 

 自分の娘のありさまに哀れに思った父、アルビオンは娘を殺す為に猛毒と瘴気の中に飛び込み一撃とは言わず確実なる絶命を目的に何度も自分の娘を切った! 

 

 叫ばないでおくれ!泣かないでおくれ!苦しまないでおくれ!悲しまないでおくれ!もう終わりにしておくれ!そう願いを込め、娘を何度も切った!! 

 

 それでも娘は死ぬ事はなく、痛い、苦しい、たすけて!助けて!!と泣き叫ぶ、アルビオンが部屋から出て来るとその体は瘴気に肺や骨に皮膚など美しい美男子だった影は見る影もなくボロボロになり戻ってきた。 

 

 これが娘に近づいた代償なのだと、ちょっとやそっとの猛毒や瘴気なんぞ気にも留めないはずの龍族最強の体が、数分でぐしゃぐしゃになるほど、娘のニアの呪いは強い 

 

 娘であるニアは自分の呪いに激痛に襲われ、叫び、泣き、謝り、懇願して幼くして殺してほしいと望む程の拷問の様な叫び声を毎日あげる。 

  

 それを聞いて、もう楽にしてやろうと父の判断は裏目にでて、アルビオンも酷い激痛の瘴気に犯された。 

 

 アルビオンは瘴気を放ってはいないので、他の龍族に治療されるも、もはやいつ死んでもおかしくない状況であり、龍王コルキスは孫娘と息子の二人の痛々しい姿に怒りと悲しみでどうにかなりそうだった。 

 

 まだ幼い孫娘、彼女は喋る。 

 

 生きていてごめんなさいと。 

 

 まだ幼い子が、どうして?どうすれば?自分が生きている事で他者に謝罪するというのだ?どれだけ辛く苦しい思いをすれば、殺してほしいと懇願する様になる? 

 

 龍王コルキスは映像の宝珠の前で何度も膝をついて、頭を地面にこすりつけて願った。 

 

 全世界に、全世界の娘や息子を救ってくれる人間に心から懇願した。 

 

 息子と孫娘を助けてほしいと、その映像は各国で毎日の様に流れた。 

 

 だが、どの国もそんな重病を治せる人間なんて存在しなかった。 

 

 神の国ミストラルの教皇でも聖女でも、ハイエルフの国アルフヘイブの王族でも、各国が抱える聖人、聖女ですら首を横に振る状態。 

 

 そんな中耳にする、グランディルの神の使徒、神の使徒は神の使徒でも食の神の使徒、でも彼の料理は、魔族の娘を癒し、獣王の娘を救い、グランディルの多くの病人怪我人を救い、それだけじゃなく、活力あるただのダンジョン国家ではなく、国民によるダンジョン攻略国家に変貌させたと言う。 

 

 コルキス・ドラゴニアはグランディルに万感の思いを込めて懇願した。 

 

 龍族を救ってほしいと

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