第3話ハンバーグディッシュ

 急遽夕食に僕の作った、ハンバーグディッシュを出す事にした。 

 

 熱々の状態で無限庫に保管できるのでかなり便利だ。 

 

 魚とか肉とかも腐らず保管できるのはデカい。 

 

 席だけ同席してみんなの反応をみさせてもらう事になった。 

 

 スープはコーンポタージュ、このスープがまずやばい!よく出来たと思うのはもちろん、甘味と塩味のバランスと滑らかさが良く、深みもあって漫画の様なリアクションをとってしまった。 

 

 コーンポタージュがどんな味のスープか知っている僕ですら、30分くらい空中を見つめて泣き出すくらい美味いとかなり自信がある。 

 

 これからのコース料理のスープ全部これでいいんじゃないか???ってくらいの自信作だ。

 

 「さて、ではさっそく使徒様の料理をいただこう。ふむ、黄色いスープに・・・・・・木の皿に肉か?肉とこれは??サラダと・・・この白いのは?」 

 

 「米です!僕の世界では主食でした。こちらの世界にあるかわからなかったので地球の最高級品を用意しました」 

 

 「米とな?」 

 

 セバスが一歩前に出る。 

 

 「こちらの世界でも確認できています。エルフ国では主食として扱われています。いつき様がいっていた醬油と味噌もエルフの国で確認されました」 

 

 「そうか、エルフの国か、何、まずはスープからいただこうか、どれまずはわたしが、こくこくこく!おぉおおおおおお!」 

 

 国王は握りこぶしを振り上げると、テーブルをドスンと叩いた。 

 

 僕は顔面が青くなりながら、なにかやらかしてないか心配していると。 

 

 「美味い!!!なんだこれは!?なんだこのスープは!?甘味とまろやかさ!舌に纏わりつく快感!ああっしかも温かい!こんな温かい食事は久しぶりだ!!ほら!みなも食べてみるがいい!!!」 

 

 「あらぁ、本当に美味しいわ!こんなスープもあるのねぇ、なんて豊かな味なのかしら?」 

 

 「おいし~い!これ!凄く美味しいよ!!!温かいのにあま~い!」 

 

 「これが使徒様の・・・・・・他の世界の料理・・・・・・これほどまでに差があるものだなんて・・・・・・」 

 

 シルフィさんだけが、美味しい以外にもショックを受けている様だった。 

 

 そしてスープの段階で僕の料理の効果は抜群に発揮され始めた。 

 

 「ぬおおおおおおお!!!体が温かい、ぬくもりに包まれているような、ああっ!肩や体全体がほぐされていく!!古傷の痛み・・・・・冷える度にうずく傷が温かくとかされるようだ」 

 

 「私も全身がぽかぽかして、足や手の先が特に暖かいわ!気にしていた手の黒ずみやしわが綺麗になってる!!??もしかしてこれ全体に!?効果があるの!?鏡!!鏡をもってきて!!!」 

 

 「ぼくも!ぼくも力がつよくなってる!」 

 

 「お母さま!これ!?肌の皮がむけたと思ったら!!白くて綺麗な肌が出てきました!!!お母さまは!?」 

 

 「あら!?シルフィ!随分綺麗な肌ね!?髪も艶々のサラサラ!!??私も同じ状態なのかしら!?鏡!鏡はまだ???」 

 

 「なんとなんとなんと!味も驚異的美味だと感動したが、これは!?なんの効果なのだ!使徒様!」 

 

 「あっ、女神様が僕の与えてくれた。治癒の効果です。説明してませんでしたね。すいません。簡単に説明すると、傷は癒え、身体能力は向上して、肌や髪なんかも美しくなります。猛毒だろうと強固な呪いだろうと全てを癒す、それが僕の料理の効能で、肉体はより強く!健康に!強靭に!美しく!若々しく!なんてことを考えた料理です。シルフィさんも王妃様も皮がむけたのは、古い皮がとれてより美しい肌が出て来ただけなので、安心してください。でも・・・・・本当は料理全部を食べてもらってじわじわ効果を発揮する様に考えて作ったんですが、スープだけで効果強く出過ぎてしまいましたね」 

 

 「なんという効能!?」 

 

 王も鏡を見ると驚愕した。 

 

 「これは!!?若かりし頃の私!まだ力強く!全てが何でも叶うとおもっていた。絶頂期の私!肉体も軽く!力が溢れ出るわ!!そしてこのスープの美味さ!!黄色いとおもっていたが、これは黄色いスープなどではない!!黄金!金色のスープ!!味わい深く!滑らかで!濃厚で!だが勢いに任せてごくごく飲むものではない!スープンで一匙一匙丁寧に飲んでこその美味さ!どこか土の大地のニュアンスもある!ええぃ!忙しい!若く力強くなった体を喜べばいいのか!!このスープの美味さを喜べばいいのか!!私は一体どうすればいい!?!?」 

 

 「じわじわと治癒されているのね!心地よいわ、湯あみをしているかの様、妖精や精霊の妙薬でも飲んだかのように若い頃の私・・・・・嬉しいわ」 

 

 「ぼくはあんまりわかんないや、でも力が強くなった事くらいならわかるよ」 

 

 「私は若返りではないけど、求めていた美しさにどんどん近づいていく様な、髪まず物凄く綺麗で艶々!肌もびっくりするぐらい白くて綺麗になってる」 

 

 まだ料理はあるんだけどなぁ。 

 

 「あの、他の料理も味を見てもらえれば嬉しいです」 

 

 「おお!!!申し訳ない!こんなにも温かく美味なスープを飲んだのは初めてだ!しかも効能が恐ろしい程素晴らしい!んむ、では気を取り直して食事の続きをしよう」 

 

 「わぁ!お肉!こんなに柔らかいのは初めて!それに全然臭くない!!どうして!いつものお肉は気持ち悪い時だってあるのに!ふわわ!噛むとじゅんわりお肉の味が広がる!美味しい!!」 

 

 「本当だわ!?独特の魔物臭さが一切ないわ!そりゃ下層でとれるような魔物なら話はわかるのだけれど、これは低階層でとれた魔物のお肉なのでしょ?」 

 

 セバスが僕の変わりに答える。 

 

 「使用した肉は王牛の肉で、一般市民の消費が激しい定番のお肉となっております」 

 

 「嘘!?下層の魔物の肉を使ってないの!?それなのにどうしてこんなに美味しいのよ!!!高級な高位魔物の肉と同じくらい美味しいわよ!」 

 

 「はっ!ですが使徒様がお使いになられたのは確かに王牛です。ということは使徒様の技術が素晴らしいのではないかと?」 

 

 「治癒に肉体強化、解毒や解呪に若返り、それでいて低階層の魔物で、こんな凄い味!お父様!これは脅威的な事よ!世界各国にも公表して、使節団を派遣してもらった方がいいわ!グランディルだけで使徒様を独占するなんて、バチがあたるなんて程度じゃすまないわ!この幸運は人類全体で分かち合うべきよ!」 

 

 「うんも?うん!美味い!肉と米!なんて相性がいいんだ!それにサラダ!野菜がこんなに美味いとは思わなかった!上にかかった白いソースこれがまた美味い!」 

 

 「王様、チーズをちょっと乗せて炙りましょうか?それもまた美味しいですよ」 

 

 「なんてまだ他にも食い方があるのか!?そのチーズとやらを頼む!!!」 

 

 「ぼくもぼくもぼくも!もっと食べたい」 

 

 「ああっ私にもそのチーズってやつお願いします!」 

 

 「お父様!!お母さま!!私の話きいてますか!!!!!」 

 

 シルフィさんがテーブルをドンと両手で叩くと、家族はシルフィに注目する。 

 

 「聞いてる、聞いてる、でもほら、まず熱いうちに食べなきゃ使徒様が折角作ってくれた料理なんだし、んほぉ!これがチーズ!また魅惑的な見た目に匂い!!!あち!はちちち!んふ!伸びる!おおおお!これがチーズ!肉と合いますな!美味い!」 

 

 「はいはい、どんどんいきますよ!はい、レオナルド様、クラウディア様」 

 

 「うわぁ~いい匂い!本当だ!伸びる!僕これ大好きだよ!!」 

 

 「ふ~ふ~・・・・・ふふっ口でこうやって冷やして食べるなんて本当にいつ以来かしら、楽しいわ!あら!本当!濃厚さが増したわ!やだぁ美味しいこれ!」 

 

 「ちょっと使徒様!?」 

 

 「あ、はい」 

 

 「私の分も・・・・・・お願いします・・・・・」 

 

 「はいはい、おまかせください」 

 

 シルフィの分もチーズを炙って渡すと。 

 

 「ふにゃ~ん!美味しいわ!本当に美味しいわ!チーズ!!あれ?でも私の知ってるチーズはもっとこう?なんかこんなに黄色くはなかったはずなんだけど?こんなに味わい深くまろやかだったかしら?」 

 

 チェダーチーズのレッドを使ったからね、濃厚で美味しいはずだ。 

 

 とりあえず楽しい晩餐に出来てよかった。

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