第7話 女神ちゃんのギフト

「そんなん、現世ご利益に決まってるだろ?エッチし放題ムフフで最強のチート能力をくれよ。」


俺がそう言うと女神ちゃんは馬鹿にしたような目で俺を見ると、吐き捨てるように言う。


「そんなのあるわけ無いじゃない。だいたいエッチがしたいなら素直に娼館に行きなさいよっ!それくらいのお金なら上げたでしょ!」


「うるさい!そんな勇気があればとっくに行ってるわっ!それに俺が求めてるのは、一夜の夢じゃなく永遠のイチャラブなんだよっ!ついでに言うと、貰ったお金はもうないっ!」


『童貞ウザっ!』


「童貞ちゃうわっ………違わないけど。」


『あのねぇ「永遠の愛」なんて綺麗事よ?大抵の場合、男は老いて行く奥さんに見切りをつけて若い娘に走るし、女の方も旦那に稼がせた金を使って、チヤホヤしてくれるホストにつぎ込むのよ?い~い?要は顔なの。イケメンじゃない時点でアンタが出来ることは、お金しか無いのよ。金貨の山で女の子の頬を叩いて股を開かせるしか無いの。』


「そ、そんな夢の無い現実を突きつけるなぁぁぁッ……。はぁはぁはぁ……クッ……、じゃぁ、イケメンでずっと若く居られるような能力を………。」


『アンタバカなの?そんなのあったら、私がとっくに使ってイケメンを飼ってるわよ。』


「じゃぁ、せめてお金を………。」


『……………。』


「オイ?」


『アハっ、ゴメンネ~。イケメン勇者に貢いでもう無いの~。』


「ふざけるなぁっ!」


クソっ、どいつもこいつもイケメンイケメンって……顔が良けりゃいいのかよっ!


『当たり前でしょ?』


…………クッ。


もういっそのこと、コイツ犯してやろうか。


『酷いこと……しちゃ、イヤだよ………おにぃちゃん。』


俺の裾を引っ張り、潤んだ上目つかいでそう訴えてくる、ロリ女神ちゃん。


クソっ……あざとい!あざといけど可愛いじゃないかよっ!


身もだえる俺を見てくすくす笑う女神ちゃん。

クソっ、可愛すぎる。


『まぁまぁ、私がいいこと教えてあげるよ。』


「いいこと?」


『おにぃちゃんはエッチが出来る女の子が欲しいんだよね?』


「……それだけじゃないからな、勘違いするなよ。」


『ハイハイ、わかってますよ。それでエッチが出来て逆らわず、何でも言うことを聞いてくれる奴隷のような女の子が欲しいんだよね?』


……クソっ、酷くなってる。

字面だけ見れば、俺が最低のゲス野郎みたいじゃないか。


「そうじゃなくてだなぁ、俺のことが好きで、オレの言うことは否定せず認めてくれて、俺のすることは何でも受け入れてくれる、天使のような優しい女の子が欲しいんだよ!」


『………言い方が違うだけで、内容同じだってことに気づいてる?』


「そ、それだけじゃないぞっ!そういう女の子達を養うお金もほしいし、守れるだけの力もほしいんだっ!」


『ハイハイ、童貞の妄想乙~。』


「童貞ちゃうわっ!……違わないけど……。」


『まぁね、真面目な話、エッチOKの就労者を買えば問題ないんでしょ?あの娘だってそういう目的で買ったんでしょ?』


女神ちゃんは、ボーっとしてこっちを見てるミィナを指差す。


……ヤバい!ミィナの事忘れてた!

俺の抑えきれないリビドーが発した、あんなことやこんな事、全部聞かれてたっ!?


『大丈夫よ、私の存在は感知できないから、あなたが壁に向かってブツブツ言っているようにしか見えないわよ?』


「そっか、なら良かった………って訳あるかっ!!余計酷いじゃねぇかっ!」


『まぁまぁ。そろそろ時間もないし、真面目に行くわよ。』


「お、オゥ。」


『あなたは、エッチOKの就労者を買って、あの子も含めて養うだけの甲斐性と護れる力が欲しい。コレでOK?』


「あ、あぁ。」


『じゃぁこのギフトをあげる。取っておきだからね。』


女神ちゃんはそう言うと俺に手をかざす。


その手から目映い光が放たれ、俺の中に吸い込まれていく。


『後はその力を上手く使ってお金を稼ぐといいよ。………頑張ってね、おにぃちゃん。………後、ちゃんと崇め奉ってよね。』


………ロリ女神ちゃんはそう言うと、俺の頬にキスをして、消えた。


俺はしばらくの間、呆然としていた。


………クッ、あざといことしやがって。

クソっ、崇めてやるよ!

チョロい?それがどうした?可愛いから仕方が無いだろ!


俺がそんなことを呟いていると、ミィナが「大丈夫?」と声をかけてくる。


「突然、壁に向かって、ブツブツ呟くんだもの……どこか頭でも打った?」


「いや、今女神ちゃんが降りて来てだなぁ………。」


「そう……。無理させていたのね。私のことなら気にしなくて大丈夫よ。村にいた頃はもっと酷い暮らしだったから慣れてるの。」


「いや、本当に今………。」


「ウンウン、わかってる。今日はもう休みましょ。」


「いや、あの………。」


「大丈夫、大丈夫。今日はギュッってしててあげるから、ゆっくり休んでね。」


そう言って、寝床にしている藁の山に俺を寝かせると、ミィナも横になり背後からギュッと抱きしめてくれる。


………えっと。


俺は、訳が分からないまま、ミィナの柔らかさに包まれ、いつの間にか眠ってしまったのだった。



………っと、そろそろいいか。


俺が、街を出た頃のことを思い出しているうちにホーンラビットの血抜きが終わっていた。


………何だかんだと言って慣れるもんだよなぁ。


俺は、ホーンラビットを収納に仕舞うと、女神ちゃんがいるであろう、天に向かって手を合わせる。


「可愛い女神ちゃん、今日もありがとう!」


これをやっておかないと、明日から獲物が取れなくなる。


何故かはわからないが、そんな仕様になっているらしい。


女神ちゃんがくれたギフトは『ランダムスキルボックス』といって、その時必要だと思ったスキルが一時的に使えるというもの。


あくまでも一時的なので、1日も持たずに消えてしまうのだが、何度も呼び出して使用すると、相性が良ければ、消えずに定着することもある。


ただ、呼び出して降ろしたギフトは、最高レベルではあるが、定着したスキルは初期状態なので、何度も使って熟練度を上げていく必要がある。


そして、このギフトはロリ女神ちゃんへの感謝が足りないと使えない……下手すれば消えてしまうという難儀なもの。


だからこうして、狩りのあとは女神ちゃんに感謝を捧げているというわけだ。


ちなみに、現在俺に定着しているギフトは『五感拡張』『気配探知』『気配遮断』『木工細工』『金剛不壊』の5つだ。


5つもギフトを持っているなんて、王族でもそうそういないとのこと。

これだけで、もう勝ち組なんじゃね?と誤解してしまいそうになるが、俺にとっては、こんなものじゃまだまだ足りないのだ。


ちなみに、、各スキルの特徴なんだが、『五感拡張』は、俺の感覚を強化してくれるスキルだ。

簡単に言えば、視覚なら遠くのものが見えるようになったり、暗闇でも昼間のように見えたりといった感じだ。


これは、ミィナの着替えを何とか覗こうとしていたら、自然と定着してしまった。

更に言えば、努力の結果、薄いものであれば透かして見えると言う透視能力まで手に入れたのだが、その力を使ってミィナを見ると、何故か大事なところが光って見えないのだ。

………これはきっと女神ちゃんの仕業に違いない。


『木工細工』は家を作るのに必要で、家を作り家具を作っているうちに定着した。

もっとも、定着した頃には、作るものは殆ど残ってなかったんだけど。


それから、『気配探知』と『気配遮断』はそのまま、周りの気配を確認したり、自分の気配を消すための力だ。


ミィナのお陰で、何とか飢えはしないものの、やっぱり肉が欲しい、ということで、狩りに出たのはいいものの、サッパリと獲物が取れない。


ここら辺りの最弱な獲物はホーンラビット。

相手も自らが弱いことを知っているため、自分の気配を押し殺して隠れ、相手の気配に敏感で、近づいたら逃げていくのだ。


何日か空振りを続けた俺は、相手と同じことをすればいいじゃないか、と気付く。


つまり、気配探知を使って、相手の場所を探り、気配遮断を使って、相手に近づいて仕留める。


これを思いついた時は、ようやく肉にありつけると喜んだものだ。


しかし、現実は残酷だった。


俺の目論見はたしかに成功し、ついでにスキルも定着して、ホーンラビットと戦う所までは持ち込むことが出来た。


だが、ホーンラビットは強かった。


その機動力で俺の攻撃を躱し、カウンターで角の頭突きをかましてくる。


おかげで俺の体には無数の穴が空くことになった。『金剛不壊』のスキルが定着したのはこの頃だった。このスキルがなければ、今頃は命を失っていたか、肉を諦めて仙人のような暮らしをしていたことだろう。


辛うじて倒せるようになった今は、ホーンラビットと戦う時は、身体強化か棍棒マスターのスキルを発動させているが、相性が悪いのか、未だ定着してくれない。


いや、一度定着したんだよ?だけどその時は、女神ちゃんへの感謝を忘れてて、翌日になったら、定着していたスキルがすべて消えてなくなってたんだよ。


それから俺は毎日欠かさず女神ちゃんへの感謝を捧げている。………今度あったら絶対犯す!と心に決めて。

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