13 確認
その後も麻雀は霞が悲惨な事になり続け、大惨敗する事で幕を閉じた。
「なあ白瀬、あのねーちゃん、雀荘とか寄り付かねえようにちゃんと見張っとけよ」
「ええ……でもなんか既に行ってそうな気がするなぁ……」
女子二人がお手洗いに向かった後、秋葉と共にレンタルした麻雀牌などを片付けながらそんな会話を交わす。
「秋葉さんは結構麻雀打ったりするんですか?」
「最近はあんまりだったけど、大学生の時は色々な猛者と争ったぜ。ああ、後怪異とも麻雀打った事あるわ。マジで死ぬかと思ったぜあの時はよ」
「……ほんと怪異って何でもありですね」
「ああその通り。良くも悪くもな」
と、そこでふと思い出したように秋葉が聞いて来る。
「そうだ白瀬」
「なんです?」
「お前はなんで怪異と関わってんだ」
そういえば今回相手にする怪異の話はしていても、お互い自分達の事はあまり話してはいない。
秋葉達とはこれから一緒に仕事をするのだ。
軽くそういう話をしておくのも良いだろう。
本当に軽くだ。
……秋葉が信頼できる相手だとしても、全部は話すつもりは無い。
「俺が怪異関係のトラブルに巻き込まれた時に助けてくれたのが黒幻さんで、その黒幻さんに憧れて、みたいな感じですかね」
嘘は言っていない。
肝心な事も言っていないが。
だけど【何者か】になりなかったなんて事、堂々と話せるような事では無いから
あの時あの場所に居た霞以外には話すつもりは無いから
ひとまずその辺で勘弁してほしい。
「へぇ、まあ妥当だな」
「どんな怪異だったかとかは効かないんですね」
できれば勘弁してほしいとは思ったが、聞いて来ないのかと少し驚いた。
そんな真に対し、秋葉は至極当然の事のように答える。
「そりゃその怪異がどんな傷を残したか、もしくは傷そのものだったか分からねえからよ。ソイツは安易に触れねえ方が良いんだ。まあ触れても良いっつーなら聞いても良いけど」
「いや、遠慮しときます」
「なら良いんだ。お前が助けて貰って、それがきっかっけで怪異と関わり始めた。俺の質問に答える分にはそれで十分だ」
そう言って笑みを浮かべる秋葉。
「……ちなみに秋葉さんは?」
「俺はそういう家系って所だな。皆が皆怪異絡みの仕事をしている訳じゃねえというか極一部なんだがそういう流れでよ。由香も似たようなもんだな。才能もあって興味もある。だから経験積む為にもウチでバイトしてるみたいな、そんな感じだ」
「そうか、そういう家系ってルートもあるんですね」
「ああ。あの姉ちゃんはどうなんだろうな」
「……なんか昔怪異の一件に巻き込まれてそれから、って感じだったと思います」
そこから独学と直感で突き進んでいき今に至るとか、そういう事だったと思う。
「まあそうなるよな。そういう家系じゃなきゃ、巻き込まれる以外にあんまり入り口がねえ業界だからよ」
「ですね。まさかハロワとか求人情報誌に乗ってたりはしてないでしょうし」
「そういう事……で、もう一つ聞きてえ事が有るんだけどいいか?」
一区切りつき新たな問いに話題を切り替えた秋葉の声音は、今の話の流れで感じた物よりどこか重い。
「なんですか?」
そんな口調で、秋葉は真に問いかける。
「最近、お前が見ている範囲であのねーちゃんに変化みてえなもんはなかったか?」
おそらく黒幻霞が抱えている問題についての問いかけを。
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