第3話「無駄な命」

世界の呪縛だと

僕の前には現実という絶壁があった

生きるだけで

呼吸が燃えていて

苦しくなる


そうして社会という業火に焼かれ

心臓は油を失くした滑車のように

ぎこぎこと悲鳴を上げながらひずんでいた


このあまりに不幸と目を合わせたあまりに

生きる才能が乏しくなり

ただ掃きだめと化した心が


雪よりも簡単にすり抜け

涙を誘うから

とっくに自制心を消して

後悔を捨てたが

それさえくすぶって怒号を上げる


そうしてすさんだ惨状に

ただうめき、吐き散らかし

存在定義が死ねよ、と促してくる


そうしてろくすっぽ

光のない現実に閉じこもり

ただ無益に無駄に

命を垂れ流していた。

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