詩集「最長ノ失踪」(完)

不可世

第1話「閉じた扉」

どうにもこの世界に矛盾していた

生きる事で失っているように思えた

本来なら経験を積んで大人になると言うが

僕にはその確かな確証が無かった


次第に皆とはぐれていった

合わせてるつもりだったけど

遠ざかってしまった


一人泣いて

一人沈んでいく


この世界という漠然とした空間で

なぜここまで痛みを感じてるか

この痛みが何故、僕にだけ克服出来ないか


誰もが上手にやれると

時間が解決すると

そう言葉をかけられたが

もうとっくに僕は道を見失った


これから

この先

続く未来の話


僕は果たして

自我を保ち

正常であれるか

負けずに立っていられるか


ただ長すぎる不在を残した僕が

また扉を開けれる日が来るのか

僕は、今、そして未来で、試される


生きる事を勝ち取るほかない


だから少しでも前に

カーテンを開け、

愛を込め

優しく

強く

慎ましく


ただこのめくるめく日々を

生きていく


生きていくほか

人は答えにたどり着けない、と

その言葉を信じ、僕は再び、世界と並ぶ。

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