【case.1 マルコス'55】

【case.1 マルコス'55】



 自分で言うのもなんだけど、ボクは十四歳にして大学を卒業、頭脳明晰めいせきなのはもちろんのこと、スポーツ万能ばんのう、おまけに容姿ようし端麗たんれい、人がうらやむスペックをほぼね備えていた。

 乱世であれば、どこかの国の軍師に抜擢ばってきされて、歴史に名を残していたかもしれない。間違まちがいなく、そんな気がする。

 だけど、今のところ、三顧さんこの礼でボクをむかえてくれるような希代の名君主との運命の出会いはなく、桃園とうえんちかいを立てたりもしていない。ただ、家でゴロゴロしているだけ。学校にも行く必要はなく、お気楽な生活を満喫まんきつ中だ。

 そんなボクの身分を一言で言うなら、そうだな。


 ハイスペックニート、といったところだろうか――。

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