【13・イライ続々】
背後で聞こえた魔法に中々いいチョイスだと笑み浮かべてながらも足は止めず、奥にいるゴブリンにしては強い気配に私は奇襲を掛けた。
「ギャッギャッ!」
「醜いねぇ」
ーーザシュッ!
此方に気付いたゴブリンを鋭い爪で一閃。
こんな奴らに魔法を使うのも勿体ないので、久々に肉弾戦をしたが、このお猫様のボディスペックを考えれば、結果は一目瞭然。早々にゴブリンリーダーを発見。
「少しは楽しませなよ?」
「ググッ……!ギャガッー!」
集落を強襲されるわ仲間が殺られるわで逆上したのか、ゴブリンリーダーは私に剣を振り上げ向かってきた。
また、背後からもゴブリンソルジャー、右からはゴブリンメイジ、左からもゴブリンソルジャーが一斉に襲ってきた。
「へぇ。やっぱりそれなりのが、揃ってたねぇ。でもねぇ……」
ーーザシュッ!ドガァッ!ドゴォッ!
「ふんっ!このフェアリアルキャット様には傷一つ付けられないさね」
一撃必殺のオーバーキル気味にそれぞれに爪で切りつけたり仲間諸共蹴り飛ばしたりと瞬殺。
爪に付いた血を振って払い落とし、リューリ達の元に帰るアリアの後ろには静寂のみが広がっていた。
♢♢♢
「ヘレンっ!」
「たぁっ!」
魔法でリューリは攻めて、溢れたゴブリンを確実にヘレンが退治していた。
「はぁっ、はぁっ、さいっごだ! ヘレンっ!『炎の槍』!」
「っ……こっちもよっ!」
ーーザシュッ!
2人とも最後の力を振り絞りそれぞれトドメをさしたのだった。
「おやおや、ずいぶん疲れてるねぇ」
私が戻ってくると、2人はあちこち汚れたり擦りむいたりしているが、大きな怪我は無く疲れて座り休んでいた。
リューリは私に気付くと軽く片手をあげてヒラヒラさせてきた。
「はぁっ……はぁっー…。アリア、おかえりー」
「ふぅー……疲れたわー…」
辺りを見渡し立っているテント等を風魔法で吹き飛ばし集落の痕跡を消すと、今度は水魔法と風魔法で2人を綺麗にしてあげた。
「わぁ!アリア、ありがとう!」
「こんな使い方もあるんだ…」
「ふん……どんな魔法も使い方次第だって言っただろう?」
ヘレンちゃんの笑顔にちょっとばかり得意げになりながら、一休みするとそれぞれリューリとヘレンちゃんはナイフを手にして、ゴブリン討伐の証集めをしたが、これが数が多かった。中袋3つ分。内2つは私が狩ったっぽい。
だって、最初の雑魚は魔法で纏めてドカンってしまくったからそんなに居たのは知らなかったもん。
「あー……疲れた。 多かった」
「集落ってこんなに大変だったんだね……」
2人を背に乗せて私は小走りに街へと走っていると、2人はその背の上でそんな会話をしていた。
「ただのゴブリン5匹討伐が大変な目にあった……」
「たかだか、ゴブリン共の集落の破壊じゃないか。全く、仕方ないねぇ…」
「アリアじゃないし僕らはまだ子供だよ?大人でもパーティを組んでの依頼だって」
「でも、とってもいい経験になったね!」
疲れた声を出すリューリとは対照的に明るく笑顔なヘレンちゃん。 対照的な兄妹に内心で苦笑いをしつつ、再び帰ってきた冒険者ギルド。夕方という事もあり、帰って行く冒険者達を横目に中へと入っていった。
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