【13・イライ続】
《魔素の森》とは違って鬱蒼とはしているものの、空気は淀んでいない何処にでもある森にゴブリン討伐に来た私達。
「……こっちに居るねぇ」
聴覚と嗅覚、魔素の流れでゴブリンを探索して2人を先導して見えてきたのは、あのゴブリン特有の後ろ姿。
「……二匹か。ヘレンは右を、僕は左のをやるね?合図はいつも通りだ」
「わかったわ!」
森に入る前にマジックボックスから取り出した弓というよりボウガン?をリューリから渡されていたヘレンちゃんは持ち直すと別の茂みへと隠れた。
そして、リューリはというと杖を構え右側に居るゴブリンを見据えた。
「3、2、1!氷の槍!」
リューリとヘレンちゃんは目を合わせてお互い頷きカウントをすると、同時に魔法と矢を放った。
「「ぐぎぁっ!」」
2人の攻撃は命中して、変な鳴き声と共にゴブリンは血を流して絶命。
「やった!」
どちらともなく声をあげて、倒れたゴブリンに駆け寄り慣れたようにリューリはナイフを取り出し討伐の証として右耳を切り落とした。
「あと三匹ね!」
ボーガンを持って戻ってきたヘレンちゃんはキリッとした表情のままハツラツと言ってきた。
「……その弓はどうしたんだい?」
「これ?お兄ちゃんが作ってくれたの!今までの弓と違って連射出来るし、狙いやすくなったのよ!」
嬉しそうに教えてくれるけど、それは見た目が少し違うだけで、前世にもあった。
「リューリがねぇ……良かったじゃないか」
私は意味深にリューリを見上げると、リューリは惚けるように視線を外した。まぁ、嬉しそうなヘレンちゃんを見たので、可愛いからいいけどね?
『ちょいと、他にも色々と作ったんじゃないのかい?あとで教えなよ?』
『……は、はいッス』
念話でそう会話すると、私は次のゴブリンを探した。
「おや……。面白いのを見つけたよ。着いてきな」
少し探れば、見つけた気配。ここから奥に行った先にあるが、数が多いね。
「面白い?どういうこと?」
そう問いかけてくるリューリを無視して進むと、見えてきたのは、焚き火にテントらしき物。そして、ゴブリン達。
「……多くない?」
「お兄ちゃん、あれ見て。 集落になってる。街も近いし危険だわ」
面白い物ってこれか。とジト目で私を見てくるリューリに今度は私が顔を逸らした。
だって、なろう小説とかじゃありがちだから、あるかな?って思ったら本当にあったんだもん。定番キター!と内心はしゃいだよ。ごめんね?
「アンタらには結界を張るから安心して好きなように暴れな?私は、奥にいるリーダーとかを狩ってくる」
「結界の強度は?」
「私の結界だよ?こんな連中に壊されるほど、弱くないさ」
「お兄ちゃん、私の剣もちょうだい。弓だけじゃ間に合わないから」
「わかった。僕が後方から魔法で仕留めるから逃げた奴をお願い」
前を見据え警戒しているヘレンちゃんにリューリは剣を渡して、作戦を伝えると素直に聞くヘレンちゃん。お互い、信頼してて子供ながらもその姿は立派に見えた。
「それじゃぁ、私は先に行くよ。引き付けるから上手くやるんだよ?」
2人に結界を張ると私は駆け出しゴブリン達を引き付けるように軽く数を少し減らしながら奥へと行った。
「……行くよ、ヘレン!」
「任せて!」
ーーーー炎の矢!!
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