【2・ハアク】
お、落ち着け……。 落ち着くんだ。
深呼吸を数回して、頭を振ると頭部にも違和感。もしかしてと思いながら右前足で自身の頭に触れれば、そこにあるのは獣耳。…… やっぱり。
「リアルケモ耳かぁー…。 音が良く聞こえると思ったらこれのせいか。 この尻尾とかからいくと、猫辺りの動物かなー?」
とりあえず、周辺状況を確認しようと洞窟の出入口へと歩きながら、この身体の持ち主の記憶を思い出していた。
どうやら、この身体の持ち主の種族名はフェアリアルキャット。白い毛並みの長毛種のお猫様。自由気ままに旅をして、ここに来たのは食事の狩りの為。
このお猫様、色んな魔法が出来てかなり強いっぽい。物理攻撃はあまりないけど、この鋭い爪を見たら充分強そう……。
「《魔素の森》 ねぇー…。 雨降っててよく見えないか…」
ちなみに、《魔素》 とは魔力の源らしい。これは自然界のみならず、生きとし生けるもの全てが、呼吸するように体内に巡らせている。
ただし、魔法を使う際、この魔力の体内循環が上手くいく者といかない者に分かれる。
それが得意で、体内に留められさらに増幅させる事が出来、かつ体外へ放出する者を人間は魔術師という。……… らしい。
このお猫様はその魔力操作がかなりお得意で、魔物でありまた、属性的には闇なのに火、水、風、地満遍なく扱えるだけでなく、習得が属性的に難しいとされる聖魔法、結界魔法まで扱える。
この私の状況は、あの夢にまで見て、憧れた異世界転生かもしれない。
いやいや、だからって人外はないでしょーよ。
「ものは試しにアレをやってみるか……。《ステータスオープン》!」
そうと思えば、やってみたかった《ステータスオープン》をやってみると………
【種族】フェアリアルキャット
【性別】メス
【年齢】1012
【レベル】100
【物理攻撃力】2530
【物理耐性】3190
【魔力】5987
【魔力耐性】4097
【スキル】言語理解、魔力操作、魔力探知、鑑定、変身、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法、聖魔法、結界魔法
【備考】レベル100になった為、自我意識覚醒。また、新たなスキル『変身』を獲得。
…… で、出ちゃったよ。
悲しきかな。 出て嬉しい半面、出なかったら一人恥ずかしい思いをするというか人外確定に肩を落とした。
転移であるなら、どれ程良かったか。 いや、あのなんとも言えない『死』という感覚からすれば、元の世界では死んでしまったのは間違いない。
そんなことを慣れないながらも両前足を組んで座りながら考える。
「あー!!! もうわかんない! 転生でいいやっ! そっちの方が夢がある!」
この表を見る限りじゃ、強いかどうかはわからないが、強い魔物の中には入っていると思いたい。 だって、魔法スペックが凄いもん。
悶々と考え暗くなりそうな思考を私は一人吠えて、気持ちを無理矢理切り替えた。
それにしても、変身って何なんだ? ポケットなモンスターじゃあるまいし、変わったスキルだなぁー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます