僕の小宇宙創生記

肥の君

第1話 プロローグ・僕は星を喰らう

 頭の中に浮かぶ巨大な物体のイメージ、やっと捕捉できた自由浮遊惑星だ。


 多時空連続体の知覚可能な限界(次元、時間、空間共に)付近で捕まえた太陽系外惑星、オリジナル世界の地球(現し世)から遥かに離れた次元、時間と空間を隔てた別世界の3万年過去そして1光月離れた外宇宙を漂っている。


 僕の仙域(創造宇宙)は、まだ直径100キロ程度の大きさだ。しかし、あの浮遊惑星を取り込むことができれば、地球規模の質量世界に仙域を拡張出来る。

 僕の知覚可能な時空間は、今の数億倍に増大し、仙域における管理力はそれこそ本物の神様並になるに違いない(その代わり、巨大な物質を取り込むことで、僕の仙域内の法則は思念側ではなく物理側に限り無く引っ張られざる経なくなるが・・・)


 しかし、あの巨大な星を僕の仙域に取り込む瞬間が危ない。

 僕の存在そのもの、魂、精神、仙域に膨大なエネルギー、情報が流れ込んでくるので、耐えきれなければその瞬間、僕の存在自体弾け砕け、そして僕と一体化している仙域も消し飛んでしまう。


 耐えられるか?


 が、此処は男のロマン!


 絶対成功するさ、との根拠なき自信でゲートをあの惑星近傍に構築。

 惑星に近づけるにしたがって、ゲートの直径を急激に広げる。


 力が流れ出るにしたがって意識が薄れてゆくが、ここが踏ん張りどころだ!


 ほとんど意識が飛んだ状態で、惑星にゲートを接触させた。

 その瞬間、体が意識が破裂しそうになる強烈な圧力が僕の内部から膨れ上がった。

 必死でその圧力に耐え、ゲートを惑星を包むように展開する。

 一瞬の間を置いて、僕の仙域が惑星に沿って膨張し惑星全体を包み込んだ。


 成功だ。


 惑星の全情報と膨大な力が僕の中に流れ込んできた。一瞬、その圧倒的な力に僕の記憶が飛んでいた。

 同時に仙域の時空間がそれこそ信じられない程大きく広がっていった。


 気付いた時には、今までの僕の仙域内にあった島は浮遊島となって惑星上空に浮かんでいた。


 今や僕は、正真正銘、星の所有者となった。


 かっての浮遊自由惑星は、今、僕の眼下にあり大気を構成中だ。

 地上の温度も可能な限りの速さで上げて地球と同じ環境になるように調整する予定だ。

 まず、第一段階成功!


 僕は大成功の興奮の中で、かけだしの頃の自分を思い出していた。

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