クマ系彼女

どーてーの独り言

俺は彼女が心配でしょうがない

俺の人生には一人だけの彼女がいる。数ヶ月前、生涯独り身を覚悟していた俺が精一杯の勇気を振り絞ってOKを貰った。そんな陰キャの惚気話になるが聞いて欲しい。俺の彼女の可愛い所を。まず華奢な所。立ち振舞の一挙手一投足が可愛い。そして次に怖がりで甘えん坊な所。お化け屋敷に行った時なんか、ずっと俺にくっついてて、いざお化け役の人が脅かしに来た時は入り口まで一言も発せず走って逃げてた。それなのに以外にも食欲旺盛で何でもモリモリ食べる。バイキングを3軒ハシゴした時はちょっとビビった。付随して鼻も凄い良い。そして凄い力持ち。灯油缶(18L)を四つ、平然と担いで軽トラの荷台に積んでいた。腕相撲をしたときには一瞬も押し返せず負けた。あと頭がすごい良い。失敗は成功のもとを体現しているっていうか、一度したミスは二度と犯さない。他にも良い所は沢山あって、元々優しいけど特に子供に優しい所、冬はずっと寝てる所、他にも色々。


そして俺はそんな彼女を裏切った。ギャルの集団の一人が俺に告白してきた。俺は彼女がいるからと断ったけど、ギャル集団はそれを許さない。俺も告白する時に物凄く緊張したし、振られた時の痛みは物凄く分かってたつもりだった。だから一日だけ、その子とデートをした。ホテルまで行き、することをした。帰宅した時、罪悪感に苛まれながら寝た。そして今、彼女は俺に問い詰める。彼女の嗅覚は鋭い。事後シャワーも浴びたし、服も洗濯した。でもバレた。


「最っ低!」


グシャ


俺は中途半端な選択をしたせいで全てを失った。彼女のビンタは俺の視界の天地を反転させ、俺の目が最後に移した光景は首のない俺の身体を食らう彼女だった。


人の味を覚えたクマは人に怯えず人を食らう。俺は彼女が心配だ。いや、彼女に関わる人々が心配でしょうがない。彼女に人の味を覚えさせた事を謝らせて欲しい。


「ごめんね」

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