第7話盗み聞き

「…引くんだが。」僕は、怖がって言った。


もっとも、そんな事ぐらいと思ってしまう。彼女は、あゆみとは次元が違うんだ。


彼女との思い出は…


「西条おにーちゃん。」


「なに?」


「おにーちゃんの髪の毛食べたい。」


「ああ、ワカメね。お母さんにワカメスープ作ってもらいな。」


…手汗が吹き出てきた。その汗をズボンで振り払った。


「だろうな。兄である俺も引くからな。まぁそれぐらいお前に惚れてるってことだ。」

青木が腕を組んで言った。



「ってか、浮気してる前提だが、あゆみは、無実だ。ちゃんと調べてくる。」

僕は言った。


それにしても…僕の幼馴染…喜怒哀楽が激しい女の子が多いような?


学校にいる幼馴染は、青木円香、中島レイナ、綾瀬桜か。


綾瀬さんは、学校で話しかけたら、話しかけるな。って怒られたんだよな。


その後あゆみと友達になったからって、謝って来たっけ。温度差が激しいよな。


中島さんと、仲が良いの隠しておいてって、お願いされたんだ。あゆみに嫉妬されるからって。


…あゆみが変わったの付き合ってからだと思ったけど、綾瀬さんと友達になってからじゃなかったかな?



…変な事あゆみに、吹き込んだんじゃないだろうな。


ドMって友達に言われて信じたって…もしかして綾瀬さん?


あり得る…なら、この写真もまさか…ね。



「なぁ、お前と、妹さん、全然に似てないよな? 腹違いとか?」

佐野が不思議がって言った。



「似てるぞ、青木は。変な眼鏡してるから、そう見えるだけで、外したら、俳優だよ。」


僕は佐野に説明した。


青木が僕の言葉に、反応して眼鏡を外した。


「誰だよ?!」

佐野が大声で言った。


周りの生徒が、その声に反応して、佐野の方に向いた。


女子達が、青木を見て、カッコいい。と呟いていた。


「誰だよって俺だが? そんなに違うか?」

青木が眼鏡を手に持って言った。



「違うよ。小学生の頃モテ期って言ってたけど、眼鏡かけたから、そうなったんじゃない?

コンタクトにしたら?」


僕は青木にアドバイスした。


「なるほどな。そうだったのか…コンタクト怖いんだよな。考えておくが。 

あと、和田さんもお前に惚れてるらしいぞ。そのうち告られるかもな。」

青木が言った。


和田さんか…彼女の印象は、至って普通の子だ。


「なんで和田さんが僕に、気があるって知ってるの?」

さらっと流しそうになったが、気がついて聞いた。


「あっ…口を滑らしてしまったな。忘れてくれ。」

しまったという表情で、青木が言ったので、深く追求はしなかった。


多分同じバスケ部だからだろう。相談されたのかな。妹と部員両方に、僕のこと相談に乗ってるって大変だな。




「青木がモテ期の理由は、わかったが、ちょっと待てよ。なんで西条だけ、こんなモテるんだよ。」

佐野が唇をヒクヒクさせながら言った。



「さぁな、妹に魅力を聞いて見れば謎が分かるかもしれん。」

青木が考え込んで言った。


それを聞いて、佐野が舌打ちをした。



「まぁいいさ、実は俺も、良い雰囲気になってる子がいるんだ。写真もその子から貰ったんだ。」

佐野が微笑んで言う。



「おいおい、まさか、俺だけ置いてけぼりか?」

青木が落ち込んで言った。


「ふん、そう言うことになるな。今日告白するわ。待ち合わせしてるんでね。」

そう言って後ろを向いて、手を振って佐野は教室から、去って行った。





佐野の視点

学校の空いてる教室にて。



さて…告白するぞ。いや…ちょっと早いか?

まだ話してそんなに経ってない。


「それでさ…」


「うん、びっくりしちゃった。」


えっ…綾瀬さん以外にも来るの? 聞いてないよー。俺はびっくりして、先生用の大きな机の下に、慌てて身を隠した。


狭い。胸から、ドクドクっと音が聞こえる様だ。呼吸が荒くなり、夏なのに寒気すら感じた。


「ねー、だって合コン、レイナに彼氏作ってやろうって、提案したんだよ。レイナを学校から、追い出したいって言われた時、心の中で爆笑だったよ。」



「そうね。まさか私と桜、繋がってるとは思わないから、仕方ないよ。」



「あゆみに言われた時しまったーって、焦ったよ。」


「でも疑うだけだったでしょ? ドM情報まんま、信じた人だから、割と単純なんだよ。」



「いやいや、それまでに色々情報あげたから、信じたんだよ。」



なんの話だ? ってか気まずい…このまま出るか? やぁ! って挨拶して…いやいや…でも待ち合わせだしな。どうする?



「しかも合コンで、初対面の男に抱きついて泣きじゃくるなんて。お前レイナに彼氏作るどころか、お楽しみかよって。」


笑い声が聞こえた。あゆみって、西条の彼女だよな?


「本当にねー。西条さん可哀想。ってかやっぱ辞めにしない? 復讐。」




「今更何言ってんの。あいつ、レイナが気にしなくていいって言ったのに、寄り添うどころか、離れっていったクソやろーだよ。」



「そうね…それ言われると、そうかなぁって思っちゃう。」


「私レイナのお姉さん、好きだったからさ。それもあるかも。」



くしゃみしたい。復讐とかわけわからんが、写真貰ったの…俺道具にされただけって事は分かってしまった。

浮気の写真復讐の為だった。俺に協力したんじゃなかった訳だ。


恋破れる…か



「でも驚くだろうなー。西条さん、浮気現場見たら。まさか…」


ヘックション…教室一面に俺のくしゃみの音が鳴り響いた。


「誰?」



「佐野です。」恐る恐る出て言った。



「佐野ー。遅いと思ったら、盗み見聞きしてたのか。」

綾瀬さんが怒りの表情で言った。


「すみません。盗み見聞きする気はなかったんですが。」

俺は謝って言う。



「そんな気なくても、聞いたなら関係ないよ。このとこは、誰にも言わないでよ。」

綾瀬さんが困った表情で言う。

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