第18話 悪の大幹部(キラキラ視点)
ジガリは寝る前に2時間、精神集中の訓練をする。その間私は少し離れたところで護衛する。護衛しながら、私も精神集中のまねごとをしている。ジガリと同じことができるのがうれしい。
ジガリが寝ると8時間、私の夜の修業が始まる。まずダンジョンコアの捕獲。テリトリーに新しい野良ダンジョンが生まれたら、それを狩りに行く。場所はヨミが教えてくれる。狩れるのは10日に1度くらいよ。
ダンジョンコアが捕獲出来たら、次の日は2時間飛んで、それを街道のヤマン側かあるいは帝都ビスク側に置いて、いくつかの転移ポイントを作る。まず街道を転移できるようにする計画。そのうち世界中を自由に転移できるようにするの。
ダンジョンコアがなくても、転移ポイントは維持できるらしい。私たちのダンジョンの階層の一つにすればいいからよ。私たち?私たちは悪のジガリ団よ。そう呼んでいるのはみんなには秘密。ともかく転移ポイントを安定させるためには、一定期間ダンジョンコアを置いていたほうがいいらしい。
私は最初の2時間は、転移ポイントのネットワーク作りに働く。かなり出来てきている。これは私の飛翔能力の訓練になるわ。
次はミノタウロスダンジョンで訓練をする。ウッドゴーレムの廃墟で1時間、無属性のマジックアローでゴーレムを射る。弓の命中精度を上げるためだ。
その後クレイゴーレムの湿地の階層へ移動。移動を繰り返すのは、同じことを同じ場所で繰り返すのは、モンスターといえども精神的によくないからだ。
まずボコボコに殴られる。やられながら、マジックアローで戦う。防御力を上げるのが目的だ。効率は悪いが、訓練にはちょうどいい。
テリトリーに戻り、罠の見回りをする。私が罠を仕掛けるのはテリトリーの周辺部。かかっている獲物がいたら、さくっと殺してバッグに回収。
夜目が効くから薬草の回収と、雑魚モンスターの討伐も問題なく行う。2時間でテリトリー全部は回り切れないが、定時で切り上げる。
最後はまたミノタウロスのダンジョンに戻る。今度はストーンゴーレムの礫河原だ。2時間、今度は私が囮になり、ゴーレムを罠にはめる。もちろん弓で射ることも忘れない。えげつないくらい経験値が上がっているはずだ。
昼間は、経験値のほとんどをジガリに分配している。私には夜の訓練があるから、それでちょうど私とジガリの成長のバランスが取れる。私の神はジガリなの。ジガリに捧げられて私はうれしい。将来の私、悪の大幹部になれると思うし。
こうして私の夜の修業が終わる。そして朝。
礫河原のボスはロックゴーレムだった。ストーンゴーレムよりもすべてが少しずつ強い。そして一回り大きい。
ストーンゴーレムは小粒の石の集合体だ。ストーンゴーレムなら弱い部分があって、そこには矢が刺さった。
ロックゴーレムは、私のマジックアローでは歯が立たない。私は諦めて、ヨミにサーバントを呼ぼうと提案した。力の強い彼等ならロックゴーレムに対抗できる。
でもこの提案はジガリに拒否された。まだ頑張れるというのだ。私とヨミは奮起した。特に私は炎上。ヒトダマなので、気合が入ったということ。いつか限界はくるに違いない。でもロックゴーレムの壁は乗り越えて見せたかった。
ジガリの寝る前の2時間。私の護衛は免除された。夜の鍛錬の時間は10時間になった。転移ネットワーク作りは1時間に短縮。テリトリーの見回りも1時間に短縮。
残りの8時間。ストーンゴーレム階層に転移。1時間おきに罠によるハメ技と、マジックアローの乱れ射ち。4セット繰り返す。成長のバランスより、なりふり構わず強化を優先する。
昼間のボス部屋では、私は飛び回りながら、マジックアローを射ちまくる。ジガリはボスから離れたところで牽制だ。経験値は今だけ私が9、ジガリが1。
狙っているのは、私に弓技スキルが発現することだ。狙いは当たった。ボス攻略を開始して、4日目に待望の弓技レベル1のスキルが私に発現した。
待ち望んだボス戦。力の限りの火属性のついたマジックアローを射る。
通用しなかった。
8時間戦い抜いたが、手応えはない。たかだかヒトダマでは、ロックゴーレムを倒せないのか。でも私は諦めない。ジガリがまだ諦めていないから。
翌日、ヨミは弓技のスクロールをダンジョントレードで買ってくれた。私の弓技はレベル2になった。攻撃力のスクロールも5個買ってくれた。スクロールは高価だが、お金を惜しんでいる場合じゃなかった。
そしてやっと勝った。どうやって勝ったかは、記憶がない。
ボス、ロックゴーレムのドロップは、魔力感知のスクロールと毒薬のレシピ。アンデッドのキラキラの回復には毒薬が必要。ちょうど良かった。宝箱は金箱。入っていたのはお金。500万チコリだった。
ジガリが魔力感知のスキルを得た。夜の気配察知、気配遮断の訓練の時、モンスターの気配を感じやすくなったようだ。
あとは何か魔力の通り道を感じるらしい。ダンジョンのある所は、魔力のたまり場のようなところで、それを感じられるようになってきたらしい。
久々の休日をとることになった。
私はサボっていたネットワークの構築と、テリトリーの巡回をする。いつもの仕事が安らぐ。でももしかして私、休んでいないかも?
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